低次脳と高次脳
★★★★★
快と不快。人間の心の中でも動物的で低次なものと考えられてがちだが、実は動物的な低次脳機能だけではなく、高次脳機能と結びついて人間の多様な快と不快のあり方を形作っている。このような展望の下に、薬物依存、過食や拒食、不眠、性的倒錯、パニック発作やうつなどを読み解いていく。
筆者の廣中直行の語り口は独特で、広範な心理学、脳科学の知見をの間をあちこちと飛び回ったかと思えば、ただの50すぎのおっさんのつぶやきが漏れ聞こえたり、本筋からいつの間にか脱線したかといえば、また本筋に戻っていたりと変幻自在である。
高次脳機能障害や精神医学の臨床に携わっている人、言語や知能などの高次脳機能だけでなく、人間を突き動かす何かの根源に迫りたい人にオススメな本。
全部自分
★★★☆☆
いい気持ちはどこから生まれるか。
まさにそのままの疑問で読み始めました。
ヒトは暴力に快感を覚えるかなど、最近の事件を思い出すこともあって、
興味深い話ばかりです。
自分が主人公で、脳に命令を出しているのではなく、
食欲や性欲の中にも自分が散在し、それぞれがそれなりに自己主張する。
そうだな…、全部自分。
頭の中にはたくさんの自分がいる。
低次脳と高次脳のコミュニケーションなど、
脳のメカニズムをわかりやすく説明してあります。
わかったけど、ますますわからないような面白さ…。
喜怒哀楽
★★★★★
人の生活の中には喜怒哀楽がなんと多いことか。顔で笑って心で泣いてなんてこともあるかもしれませんが、やはり感情豊かな人は顔で心がわかるのではないでしょうか?ただ、心の中の平穏な状態は、ささいな事で乱される可能性があります。快と不快は表裏一体であり、変わり身の早さに時々驚かされることがありました。皆さんはそういった経験ありませんか?
この本の中で言われている、「低次脳と高次脳のコミュニケーションにより、人の心は左右される」という考えには脱帽です。人の感情について大脳機能(高次脳)を中心に説明される本が多かったのに対し、人間の本能(低次脳)も感情に大きく関わることを発見しました。最近の脳内ホルモン研究を中心に、新しい視点で感情を描いた逸品だと思います。
ダマシオ先生の前に読んでおこう
★★★☆☆
脳や意識関連の本を読もうと考えた場合、いきなりペンローズ先生では、何がなにやらとなってしまうでしょうし、ダマシオ先生の本にしても、その厚さからめげてしまう人も多いと思います。そんなときにはこれ。お手軽NHKブックスの廣中先生です。本書の内容は、まあ、可も無し不可も無しレベルですが、前記二人の大先生と違い、身近なところが魅力です。
がんばれ!廣中先生。でも、やっぱり星三つ。