好き嫌いな曲が分かれます
★★★☆☆
トム・ぺティのファンですので、デビューアルバムからソロまで基本的に出るアルバムはすべて即購入のスタンスを取っています。
個人的には初期から中期のライブアルバムまでのスピード感がある頃が一番好きで、ここ最近の重鎮になってからも好きでした。
ほんでもって、トムがハートブレイカーズになる前の幻のバンドのアルバムなので期待して聴いてみました。実は以前出ている「Playback」の5枚目にMudcrutch名義があるので、お初ではないのですが、ちゃんとしたアルバムではお初のはずです。
アルバムを聴いての感想ですが・・・
2曲目は今のトム・ペティに通じるものがあります。しかし、3曲目や6曲目、9、10、14曲目・・・むむむカントリーだ。でも7、11、13曲目はなかなか心地がよく格好良い。
う〜む何と評してよいか難しいです。カントリーが苦手な私としては、上記に上げたカントリーの曲はiPodには決して入れることはないけれど、他の曲は入れます。
アルバム自体に曲のばらつきがかなりあると思いました。人の好みにより好き嫌いが分かれる曲がかなり複数という感じです。
トム・ペティのルーツ回帰作
★★★★☆
1曲目は元The ByrdsのRoger McGuinnのアルバム_Limited Edition_(2004)にも収録されたトラッド・ナンバー。ブリティッシュ・フォーク・ロックを代表するFairport Conventionの_Liege & Lief_ (1969) 収録のスコティッシュ・バラッド“Matty Groves”の一変種で、メロディはThe Byrdsも演奏した“Pretty Polly”と同じでもある。(同じメロディに別の歌詞をのせて歌うのはトラッド/フォークではよくあること。)10曲目のブルーグラス系のインスト曲からThe Byrdsの_(Untitled)_ (1970) 収録のRoger McGuinnとJacques Levyの共作ナンバーである11曲目への流れは、後期The Byrdsのライヴを髣髴させる。Tom Pettyは以前「The Byrdsの歌は全て口ずさめる」と語ったが、30年以上前にPettyが組んでいたバンドのリユニオン・デビュー・アルバムというこのアルバムは、彼のMcGuinn似の歌声(11曲目に関してはMcGuinnの方が荒々しいが)とともに、そうした彼のルーツを感じさせ、Pettyのファンだけでなく“Byrdmania”の人にも嬉しいアルバムと言える。
これらに加え、カントリーのカヴァーである4曲目や、このアルバム中唯一の30有余年前にも歌っていたオリジナル曲というトム・リードン作/歌の9曲目を聴くと、このグループがまさにThe Byrds〜Flying Burrito Brothers〜Eaglesといった流れの中から生まれたバンドだったことを強く感じさせる。
新作曲も、「温故知新」といった感じで、ルーツに回帰しつつTom Petty & The Heartbreakersともソロとも違う新しいバンドの音楽を作り出そうとしている。(あえて言えば、2曲目はPettyのソロ名義最新作_Highway Companion_に入っていても違和感のなさそうな曲で、“Mary Jane’s Last Dance”を思わせるところもある8曲目はトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズっぽいと言えるかもしれない。)
ただ、このグループで新作を出すのもよいが、ソロ名義の作品にかつてのバンドのリユニオンときたら、そろそろトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの新作も出してもらいたい気も正直なところする(実際にはメンバーが重複してはいるのだが)。
非常に楽しめた満足な作品!
★★★★★
バンドの生い立ちに関しては、他のレビューの方が触れているので省くとして、内容はこれぞアメリカ・ロックだ!という王道を真っ直ぐ行くという感じに仕上がっている。
確かにカントリー調も多いが、これがどうしてカントリー嫌いな私でも大いに楽しめるのだからベタなカントリーでは決してない。
特筆すべきは、#5である。美しい旋律と味わい深いヴォーカルに思わずグッと引き込まれてしまう。
最後まで飽きさせることなく、聞き終わった後の余韻は何とも言いようのない幸福感に浸れる。
このメンバーで次回作(ライブではなく)スタジオ盤を期待するのは私だけではないだろう。
これで良いんですよ。
★★★★☆
遂にデビュー?のMudcrutch。
Tom PettyがMike Campbell、Benmont Tench、Tom Leadon、Randall Marshといったメンバーとともに作り上げたアメリカンロックアルバム。
どこをどう切ってもTom Pettyの音楽なのだが、Heartbreakersの時とはまた違ったロック。
ちょっとラフで、リラックスしていて、バンドらしさのあるロック。
今やアメリカンロック界を背負う立場になった感のあるTom Pettyだからこそ、こういった気心知れた仲間と楽しく普通にロックすることによって出来上がる一流のロックも、アメリカンロックのもうひとつの文化であることを証明しているようで、あぁ、やっぱり流石だなぁ、かっこいいなぁ・・・と思う。
30年の歳月を経て、マッドクラッチついにデビュー!
★★★★★
時は70年代前半。あのトム・ペティがハートブレイカーズとしてデビューする前、共に活動していたバンド、それがこのマッドクラッチ。30年の歳月を経て、ついにデビューアルバムが完成した!
メンバーはトム・ペティ(なんとベース!)の他に、後のハートブレイカー、マイク・キャンベルとベンモント・テンチ。そして元イーグルスのB・リードンの弟、トム・リードンにドラムのランデル・マーシュ。誰がこのバンドのイニシアティブを握るかで、2人のトムが揉めたため空中分解したんだが、時の流れとともに、デビュー30周年を総括した時、自身のルーツをこのバンドに見出したのか、落とし前をつけたかったのか、ペティはバンドのリユニオンを選択した。
収められたのは、カバーも含めた新録14曲。カントリータッチな楽曲が多い印象だが、いつもながらの、良質な王道アメリカンロックがズラリ。例えるなら、「Highway Companion」風の曲を、バンドメンバーでスタジオライブかなんかで一発録りしたらしく(実際わずか10日間とのこと!)、ザラッとした肌触りだが、ハートブレイカーズとも、ペティのソロ作とも違った、ラフでルーズな感じが、これはこれでいい。
ボーカル(&ソングライティング)は(9)がトム・リードン、(1)を2人のトムが分け合い、(7)は何とベンモント(!)、残りはペティが担当。そう、思いっきりペティが主導権を握ってるんだが(笑)、ハートブレイカーズ以外の2人も、意外と言ったら失礼か、彼らに喰らい付きながら、己を主張しているのが効を奏しているね。
現在、ショートツアーの真最中。セットリストではこのアルバム+カバー曲で、ハートブレイカーズの曲はやっていないらしい。その心意気や良し!