自分なりの名盤をつくりましょう
★★★★★
この本がでて20年以上経つなんて信じられません。今でも時々読んでは、参考にしています。最初に買ったのが雨に濡れたりしてボロボロになったので2冊目を買い表紙をパウチしましたが、もうボロボロになりつつあります。私の生涯でおそらく一番読んだ本になると思います。続編を心から希望します。
この本に書いてある事を全部鵜呑みにせず、自分の感性を信じて自分なりの名盤を作り上げていくのに大変参考になると思います。
あの時夢中で読んでいたのが恥ずかしい
★☆☆☆☆
渋谷陽一くらいその評論に意味を感じさせない人物も珍しい。と、今は本当に思うのだが、中学生だった頃にはこの人の書いたものを夢中で読み、ほかの評論家とは全く別扱いしていた。ああ自分が心から情けない。この本の彼の評論を読んで感じさせられるのはそういうことだ。要はこれ、評論にも何にもなっていないのだ。これからロックを聴こうという人がこの本を手にとって読み、なぜか感銘を受け、この中の何枚かを聴くかも知れないが、そしてその盤を気に入るかもしれないが、それとこの本の内容とは全く無関係だ。とにかく演奏や演奏者とは無関係な著者本人の妄想に近い独りよがりをひたすら書き連ねてあるものだ。この人、今でも梅干し弁当を携えて職場に向かっているのだろうか。おいしいものを食べて幸せな気持ちになったり、素敵な女性と恋に落ち(ることができずとも、それに近いくらいの心のときめきを感じ)たり、ちょっと服装にしゃれっ気を加えたりとか、とにかく精神的な意味での「豊かさ」を得ていく経歴というものが全く欠如していることが、この人の書くものをつまらなくしている最大の要因に思えてならない。中学生にはそれで十分だが、大人が成熟していく過程で必要な心を肥やす道のりを欠いたことが、大人の読者を相手にするのが不可能な精神的幼児(的評論家)をつくりあげてしまったのではないか。なにか、教養の全くない中小企業のたたき上げ社長みたいで、昭和を引きずっていて物悲しい。レッド・ツェッペリンを聴くようになったのはこの人の文章を読んだのがきっかけなのだが、今、彼らの音楽と著者の文章には全く何の関係もないことがはっきりとわかる。この著者の価値があるとすれば、それくらい勘違いの文章でも、取り上げたアーティストに価値ある人たちがいたために、(全く見込み違いの人たちも大勢いた)何だかこの人も残ってしまったということである。
青春の思い出。
★★★★★
今から約20年前、東京でフリーター生活をしていた私は、西武池袋店の本屋でこの本を購入しました。当時(今でも)、ダサダサだった私は、この本を参考にして(20年前の)秋葉原でCDを買い漁ったものです。という訳で、個人的には思い出深い本です。《ロック・アルバム・ガイドブック》としても、なかなか秀逸な出来栄えです。中年以上のロック・ファンには、無条件でオススメしますが、今時の若い人の目にはどう映るのでしょうか?とりあえず、ロックに興味のある方には、買って損のない本だと思います。
秀逸なガイドブック
★★★★★
もう私自身10年以上は読んでいる、よくできたガイドブックです。
内容が古いといわれますが、それもそのはず、選定時は1974年です(あとがきより)。
その後微調整されて(あくまで、少しの変更らしい)1988年に出版されたのが本書です。
なので、内容が古いという批判は、ご自身のケアレスミスといえます。
それでも、ロックが熱かった60,70年代はカバーしているので今でも十分読むに値します。
ロッキンオン系統や渋谷陽一に共感する人はもちろん、それに共感しない人も喧々諤々の
ネタとして、気楽に読んでおくべきでしょう。普通に読み物としても面白い。
また、取り上げている範囲(ジャンル)が狭いという意見もありますが、
これもお門違い。そりゃジャンルや地域などの範囲をどんどん広げていけば、
一冊にとても収まらないわけで、 ビートルズやツェッペリンに想起される
“いわゆるロック”(語弊は覚悟)に絞って、無難に選ばれたなかなかのチョイスだと
私は思います。近年の、米ローリングストーン誌の名盤選挙ともそれほど齟齬がない。
また、トーキング・ヘッズの件についても、一つの意見として参考になります。
批判的観点として、矛盾しているというほどではないと思います。
確かに、著者の伝家の宝刀である“批評性”というタームは、あいまいなところも
ありますが、“安易にのっからない”“技術だけではなく歴史や社会の流れの中で
位置づける”という点でいえば、やっぱり功績は大きかったんじゃないでしょうか。
今年は、ロッキンオン社から新しいガイドブックが出るらしいですが、
本書もぜひ読んでみることをおすすめします。文庫は安いですしね。
カスタマーレビュー
★★☆☆☆
渋谷陽一の選出するロックベストアルバムガイド。
古いロックを知る手がかりとなるてんでは良書だし、彼のロックへの熱い思いが分の端々から伝わってきて楽しい。選出された各々の「名盤」の左に、何らかの理由で関連する作品が二枚づつ紹介されているのも、ロックの知識を全体との関連で広げていけることが出来るのも嬉しい。
しかし、これは古い本である。
ロック的世界そのものに対する評価も古いものだし、黒人音楽やジャマイカ音楽、ポップスなどの「ロック第三世界」とも言うべき世界との関連づけも稚拙だ。この本を読んで公平にポピュラー音楽全体を想像することは不可能だろうし、テクノやヒップホップをも巻き込んでのポピュラー音楽を判断する上での新しい知覚への接近がゼロである、という両方の理由で、星は辛口に二つとした。
また、渋谷陽一オンリーの意見となっているので、それぞれの作品への好悪についても、残念ながら穿った視点でしかない。渋谷陽一ファンというものが存在するならば、この本は間違いなく良書となるだろう。
ただし、重ねていうが古いロックを大体網羅しており、作品の内容の紹介も、大体において的確だ。
とりあえずロックの名盤を買いたいが、どういったものを買うべきか迷っているひとには本書の知識は有用だろう。だが面白さとロック世界へのリテラシーへの配慮という点で、同氏の本では「ロック大教典」をオススメしたい。