オフィシャル・リリースされたライヴ6作で一番質の低い作品
★★☆☆☆
2009年ににCDとLPとDVDでリリースされた1978年12月5日オースティンでのライヴ録音です。時期としては"Blue Valentine"(1978年9月)発表直後のライヴで、ジャズの影響を受けたシンガー・ソングライターという感じで活動していた頃らしく、「サマータイム」などのジャズ・スタンダードなどを交えた内容です。
近年、70年代のライヴ音源のリリースが続いているトム・ウェイツですが、既発売の"The Dime Store Novels Vol.1"(1974年録音)・"Nighthawks At The Diner"(1975年録音)・"Tom Waits Live In Concert"(1977年録音)に本作品が加わったことで、70年代のライヴが網羅された感もあり、意義ある一枚だと思います。
ただ、残念ながら演奏の質は高いとは言えず、特に"Silent Night"でのオトの外れ具合は聴いていて恥ずかしくなるほど。音質はイマイチながら許容範囲かと思いますが、編集の雑な部分が目立ち、とても本人がOKを出したとは思えないような作品です。コーティングされたデジパック仕様で綺麗な商品ですが、内側に印刷された解説(もちろん英語)はこのライヴについて関係ないことを書いていて、このライヴについての日付・曲目以外の情報は得られません。ちなみにこの"IMMORTAL"は(貴重音源ではあるものの)海賊盤かというような粗悪な商品ばかりを出しているレーベルです。ということで、マニア以外にはお勧めできない作品と思っています。
"Dime Store Story Vol.1"が良好な作品ながら廃盤になっている状態ですので、本作品もいつまで手に入ることやら・・・。
メロディーメーカーとして脂の乗った時期のライブ
★★★★★
78年12月のライブ。
冒頭からいかにもエロいホーンの炸裂で幕を開けますが
全体的にシンプルなピアノがメインの構成。
「I Wish I Was In New Orleans」「On The Nickel」など
実験的な側面よりは叙情的なシンガーソングライターとしての
才能が遺憾なく発揮されれいます。
音もベストとは言いませんが良好で
ピアノの音などから、マスターテープの状態が悪いことが
時折感じられる程度。
もしかしたらコンピューターで結構なおしているのかもしれませんが
空気を壊すような過度な編集は感じられませんし
また、ライブ盤特有の観客の笑い声など、ミックス具合も雰囲気たっぷりで
製作側の愛情を感じます。
CDを見る限りでは参加ミュージシャンの詳細等もわからず、よく知らないヨーロッパの会社からのリリースのようですが
熱心なファンから、ちょっと聴いてみようと思ったかたにまで
広く薦められる内容です。
ダイムストアノベルズのように入手困難になる前に、早めに購入したほうが良いかと思います。