カトリック悪魔払いの復活ルポ
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この問題に関心がある読者なら聞いたことのある話題をまとめ直したような感がなくはないものの、言及は更に一歩踏み込んでいる。悪魔の存在自体を認めなければ悪魔払いは当然ない、同様に逆に、悪魔払いを公式に認めるということは悪魔の存在を認めるということであるからだ。
しかし、勿論司教たちができるのは最大限の配慮と祈祷でしかない。この問題の解決に、精神医学以上に強力に効果を発揮するには、神の力を強めて神に悪魔を追い払ってもらうか、こちらの人間の側の力を強めて、それは神への同一化の力であっていいが、悪魔とこちらが直接闘ってこちらが悪魔に打ち克ち追い払うか、そのどちらかでなければならない。それは、典型的な事例としては極端に少数でまれな上に、それほど強力で明白な場合は困難を極めることが最初からはっきりしていることなのである。
こうしたことを、何もなかったとか何も起こっていない、そんなことは存在しないし問題でもない、という今までの公的立場から、それを認めるだけで対応は随分変わってくる。その効果、結果もこれから次々と得られて類型化されていくだろう。それでも、悪魔とは何か、何者なのかということはますます深刻に問われねばならなくなるこれは正にジレンマだ。そこまでの本質的な問題にまでは至らずに本書は楽観的に終わっているがしかし、これは宗教問題ですらないかもしれず人間である精神科医の手にも負えない、それこそ、精神と大脳の問題として、逆にそこで発生している意識の向こうに別の宇宙をまで前提とし、そこに住む宇宙人の問題であると言っておいた方がよほどすっきりする、より早くはっきりさせられるのではないかと思われるようなことなのである。
現代にもエクソシストが存在
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現代にもエクソシストが存在し、それなりに重要な仕事を行っていることに、驚きました。
神と悪魔の相対性を強く持つ西洋のキリスト社会では悪魔がきわめてリアリティをもった存在なのですね。
日本のように神と悪魔という相対したものを、もともとは持っていない国では本書で取り上げられているほどの問題はないようです。
本当のエクソシスト
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著者はアメリカ人のジャーナリストです。なので、この本は様々な見地からエクソシストとは如何なるものなのかをレポートしたもの、という感じになっています。なので、オカルト本でもなければ、スピリチュアルな本でもありません。
エクソシストとは、本来バチカンから正式に任命されて活動している神父たちをwしますが、その中にも様々なタイプがあり、活動や考え方には大きな違いがあります。
そして、実際悪魔に憑依された経験をもつ人(現時点で憑依されている人物も含)たちへのインタビューもまじえ、冷静な視点からエクソシスト、エクソシズムとはどういうものかを書いた本となっているように思いました。
基本的に宗教を持たない日本人にもわかりやすい内容で、バチカンのエクソシストに対する状況や現状なども書かれており、実際行われている悪魔祓いがどういうものかも詳しい記述があります。
悪魔祓いとはどういうものか、エクソシストとは何かを知るには、ひじょうに良い本と思いました。
テーマはよろしいのだが
★★★☆☆
この本、タイトル及び目次を見る限りでは非常に興味を引くのではあるが、実際の内容は「物足りない」のが印象に残る。 現在におけるエクソシズムの在り方に係る諸問題 -精神的疾患への妄信的アプローチが及ぼす被験者の危険性。あるいは、逆に実在する人格(神格?)としての『悪』への精神療法・刑事罰での空しい対応- 等に関してジャーナリストである筆者のテーマへの掘り下げが甘く、インタビュー相手が替わる度に思索が右往左往し結論じみた見解が導きだされないままになっている。 たとえ、筆者の独断であれある程度の見解が最後のあれば読後感も、もう少し充実できただろうに。 とはいえ知的好奇心を満たす興味深いテーマに果敢に取り組んだ点で購入して損はない本である。