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目を閉じればいつかの海 (角川ルビー文庫)

価格: ¥600
カテゴリ: 文庫
ブランド: 角川書店
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うむむむむ〜・・・ ★★★☆☆
基本的にネガティブ・レヴューは書かないことにしているのですが、
読んでいてここまでイラつかせられた受けは初めてかも。
「自分のズルさは最低だ」みたいな内省描写から 
作者も意図的にそういう人物造形をしていると分かって、
それはそれで筆力だなと思いましたが、
どこまでも自己中心的思考だわ あまりに女々しいだわで、
人間的な健気さも男らしさもなく、
それで口調だけ男言葉でもねぇ…。
完璧に格好良く描かれている攻めに、
受けの顔以外で どこにそれ程執着してしまうのか 聞いてみたかったです。

喜美津さんトコの弘くん贔屓の私には、
このレーベルは合わないということなのですね、きっと。
切ないラブストーリー ★★★★★
湘南をドライブしながら、就職が決まった嘉悦のためを思い、わざとひどい言葉で別れを告げた藤木。
10年後、嘉悦を忘れられないままに静かに暮らす藤木は、思い出の湘南でカフェレストランの店長として働いていた。
そこに偶然嘉悦が現れ、「忘れられなかった」と告げられて……

かなり切ないお話でした。
嘉悦のことが大好きなのに彼の邪魔になりたくない、と執着をかみ殺す藤木と、そんな藤木を見て束縛したい気持ちを抑え、重くならないようにと気を使う嘉悦のすれ違いがもどかしくて、本当によかったです。
藤木の勘違いにおいては本当に馬鹿みたいなものだったけど、彼の心情がとても丁寧に描かれているのでちっとも陳腐な気がしませんでした。
真雪、大智らの脇役もいい味を出しています。
相変わらずしっかりとベッドシーンもあり、盛りだくさんな一冊でした。
海が目の前に広がります ★★★★★
おおや和美さんの線の細いイラストとともに、波の音が聞こえるようでした。
湘南の海を目の前に立つカフェレストラン、ブルーサウンド。そこで、思い出とともに生きる30手前の店長、藤木と、過去に付き合っていた先輩、嘉悦。終わったはずの二人が偶然出会い…、というお話。  ストーリー的には、後から思えばベタな感じだし、最後が「誤解おち」ってところがなんなんですが、読んでいるときはそんなのまったく気になりません。
ストーリーに引き込まれて、藤木と一緒に波の音を聞いて、テラス席からぼんやり海を眺めているような感じでした。でてくる料理もおいしそうだった…。
 受けのエッチが、気持ちよさそうなところがいいですね。これ一冊を読むと、つぎの「手を伸ばせばはるかな海」「耳をすませばかすかな海」「振り返ればかなたの海」も読まずにはいられないでしょう。題名が似ていてややこしい!(笑)

やっぱり好きだ、崎谷ブランド! ★★★★★
かつて学生時代に愛し合いながらもお互いの若さゆえに手放した恋を、偶然の再会を機に再生させていく物語。ズバリ大人の恋。

時が、10年前に失った恋の記憶を薄れさせてくれるのを静かに待つばかりの藤木。だが偶然昔の恋人・嘉悦に出会い、いまだに自分の中であの恋が終わっていないことを自覚する。出会ってしまえば二度と離れることなどできない。嘉悦の左の薬指に光るリングに罪の意識は消えないけれど。
「もっと、ずっと……いて」
帰したくない、離さないで、そんな強烈な独占欲を曖昧な言葉に紛らせて吐き出してはみるけれど、決して帰らないでと口にすることはできない。嘉悦は他の誰かのものだから……

執着すればするほど募る孤独。理性を凌駕する恋情。かつて自堕落で我がままな恋をしたことのあるオトナには、身に覚えがありますね?チクチク古傷が痛むでしょう。

崎谷さんの作品は読むほどにこちらが追い詰められる。たとえば「あの人のため」ときれいに繕った言葉の裏に、上手に隠した逃げ腰の弱さとか、「痛みは自分が引き受けるから」と犠牲を装った臆病さとか、見たくもないものまで暴いてくれる。誰でもきれいなものだけ見ていたいし、正しいことだけしていたい。それが恋ならなおさらのこと。ところがどっこい、そうはいかない恋の無様さを、崎谷さんは玉ネギの皮みたいにペロッと剥いてどんどん見せちゃう。「そこまで突っこむかぁ。イタイなぁ」と思わされることしばしば。

けれど、最後に「それでもいいんだよ」と背中を押してくれる。大人になってズルくもなったし、欲張りにもなった、それもまとめてOKだよ、と許されることの安心感。それこそが崎谷ブランドの最大の魅力ではないかと、改めて感じさせられた作品でした。

ただし惜しむらくは、イラストとのミスマッチ。このオトナ向けの作品には、おおや和美さんの清潔なキャラクターが若干可愛すぎる気が。タクミ君が目に浮かんでしまって… 贅沢言い過ぎですか?

泣ける!そして大人度高。 ★★★★★
別れるしかなかった初恋の相手。年月を経て、再会し燃え上がった気持ちは抑えようも無く‥‥。
相手とのつながりをすべて断ち切り姿を消した藤木の切ない思いに、思わず涙が。再会後も忍ぶ恋に苦しむ姿がリアルに描かれていて泣かされます。そして不安を打ち消すように淫らに燃え上がる逢瀬の描写、かなりエロいです!具体的というかなんと言うか‥。(笑)
まわりを固めるキャラクター達も、それぞれに悩みや過去を抱えていて魅力的。読み終わって充実感いっぱいです。
次回のルビー文庫は、その脇キャラたちのお話しだということで、今から楽しみ。