100年後の現在、この屋敷の魅力の虜になった元弁護士デクはこの屋敷を
買い取り、改修を進めていくが奇妙な現象や自分の体にも変化がおこり
始めていた。デクはこの町で知り合ったリーナと心惹かれあいながら、
この事件の真相に迫っていく…。
最後まで飽きることなく、一気に読ませてしまいます。確かにお屋敷に
幽霊などといえば、不気味になりがちな物語もリーナやその祖母のウォーターズ
の存在によってやさしい物語に仕上がっています。
最後まで一気に読んでまた余韻に浸ってしまうそんな作品です。また舞台と
なっているニューオリンズにも旅に出かけたくなるような気分にさせてくれます。
マネ・ホールという古い屋敷を買い取って、幽霊と一緒に暮らし、屋敷を修復し、真実の愛を取り戻す。といっちゃうと、ほかにもノーラの作品にありそう。「遠い昔のあの声に」とか「塔の館の女たち」とか。
でもでも、違います。やっぱりノーラ。よくある、生まれ変わりと時を経て繰り返される邪悪な敵との戦いじゃありません。本当の戦いは心の内。
デクは思いやりがあって、如才なく、セクシーで、金持ちで、意志が強く、やさしい。加えてとても誠実、そして頑固。ザラザラした働く手を持つ男。
と来れば、お相手のリーナ、どんな障害があったとしても、もう恋に落ちるしかないでしょう。
台無しにしてしまったものを正すチャンスになるか、同じ過ちを繰り返すことになるか。
「彼」を不信と悲しみの中にとどめさせたくないから。今度の二人の方が強いから。「彼女」は頑張ります。
バイユーの官能的な流れのほとりで時をこえてよみがえる「彼」と「彼女」の物語です。