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優しいサヨクのための嬉遊曲 (新潮文庫)

価格: ¥300
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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ぼくには理解できませんでした ★★★☆☆
何かを暗喩しているのだろうけど、それが何なのかぼくにはよくわからなかった。機械的な文章のせいで登場人物がすべて血の通ってないロボットのように思えてしまった。まるで前衛的な芝居でも見ているような・・・
著者曰く「青春小説を装ったポルノ小説」 ★★★★☆
一冊丸ごと表題作なのかと思ったら表題作は130頁辺りまでで、その後にもう一作あった。読む前にパラパラめくると随分卑猥な言葉ばかりが目に入ったので、「なんだか読んでいて恥ずかしいような小説を手にしてしまったのかな」などとも思ったが、いざ読んでみればなんということはない許容範囲内ではあった。ただ性への言及は比較的多いと思う。著者本人も「青春小説を装ったポルノ小説」と説明している程である。

主に多分におふざけを混ぜたユルユルとした市民運動と恋愛を同時的に描いていく構成で、なかなかに短いのですぐ読める。恋愛に関しては平凡な感じだったが貶すほどではない。あと印象深いのは主人公らのグループは特定のイデオロギーを必要とは考えておらず、ただ節度ある「優しさ」と「知識」だけが必要だという思想で活動しているという点。ただし今あえて「という思想」と表現したように、これもまた一つのイデオロギーに基づいてるのではないかと思う。思想はイデオロギーと換言できるし(まぁ定義にもよるが)、例えば世界中のみんながもっと優しくなればいいのに、なんていう素朴な考えも一つの思想=イデオロギーに他ならない。増してや主人公らは人権擁護の運動をしているわけで、人権もまた一つの強力なイデオロギーに基づく政治的概念なのだから必然的に何らかのイデオロギーや政治的立場に依拠・協力している事になる。知識とてそうで、どのような知識を得るかを選択するのにも本人の信じているイデオロギーが大きく関係する。…というわけで、本作の主人公らはこの辺を自覚すべきかなとは思ったが、これは多分作品の質などとは特に関係ない政治的なボヤキだろう。
青春のあるべき姿 ★★★★☆
島田雅彦のデビュー作。
僕が生まれる2年前に刊行された作品です。

タイトルに「サヨク」なんて言葉が入っているから難しい思想小説と思いきや、そんな小説とは180度異なる大学生が主人公の青春恋愛小説です。

83年に書かれた小説とは思えないほど新鮮で、面白く、新しい小説でした。

村上龍『69』にも通ずるものがあるんだけど、結局学生時代の男ってのは、いや、生涯を通してかもしれないが、「いかに女にもてるか」ってことを考え続ける。

『69』でバリケード封鎖するのも、『優しいサヨク〜』でサヨク活動に戸惑うのも、そんな思想やら政治やらよりも、大切な「女」がいるからだ。

これは間違いない。

そこらへんにのさばる「純愛小説」なんてものより、これらを描ける小説は、よっぽど「純愛」なのだ。男なんてそんな生き物なのだ。

島田雅彦はまだ2冊目だが、彼の文章は非常に心地よい。
音楽のようだ。テンポがあるし、軽やかで、美しい。
まさに「先駆けた」小説 ★★★★★
僕はこの小説を「妄想恋愛小説」として読みました。最高ですね。
読んでみようかどうか迷っている方は、「サヨク」という言葉が
タイトルにもあるので、難しい小説なのかなと思って迷っている
のだとしたら、それはぜんぜん違うのでぜひ読んで見てください。
今の時代に読んでもまったく違和感のない小説だし、最高に面白く、
笑えて、切ない恋愛小説です。しかも主人公の「妄想」度が高くて
とてもキュートです。

この作品は島田さんのデビュー作です。
この『優しいサヨクのための嬉遊曲』という小説の文体やプロットも
含め、僕の勝手な意見ではあるけれど、今流行りつつある森見さん
などの「妄想恋愛小説」に繋がるものがあると思います。

本当に面白いです。マジで。
島田雅彦デビュー作。 ★★★★☆
島田雅彦デビュー作。
サヨク活動にも、恋にも少し距離をおいてかかわる千鳥に、
20年前の小説なのに、この時代にも通じる雰囲気を感じ、
純粋に共感を覚える。

自分の行動を、はすに構えながら冷静に見つめる千鳥。
千鳥の行動、描写のそこかしこにナイーブな心理描写が見
られる。

実力作家のデビュー作だけに、さすがに光るものを感じる。