古句にも柴田さんの文章にも惹かれる
★★★★★
碩学と言われた柴田宵曲さんの文章には
どれも飄々とした親しみやすさがあって、
読む側もその話術に乗っかって
ついすらすらと読み進めてしまう、
そんな魅力があります。
元禄の頃の、主に無名の俳人たちの句を
季節ごとに並べて平易な解説文をつけたこの本も、
300年近くも前に作られた俳句の世界に
読み手をすっと引き込んでしまうような
分かり易さと楽しさが満ちているように思います。
私のような俳句の門外漢にも
この頃の句が持つ技巧に走らない素朴な魅力が
柴田さんの解説によって鮮やかに伝わってきます。
一句ごとにごく簡潔で手短に解説されていますので、
ちょっとした合い間にひとつの句だけ味わうことも、
腰をすえてじっくりと古句の世界に浸ることもできる
便利な本でもあります。
ずっと手元に置いて、何度も読みたいと思う一冊です。