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韓国併合への道 (文春新書)

価格: ¥725
カテゴリ: 新書
ブランド: 文藝春秋
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   著者は『攘夷の韓国 開国の日本』で第5回山本七平賞を受賞。日本人といえば「過去を反省しようとしない人たち」と教えられ、そう思い込み続けてきたが、それはどうやら韓国人のほうにあてはまる言葉であると知り、「併合に至った韓国側の問題点」の究明を思い立った。この本を書くに至った動機をそう語る。韓国人が自らの肉体を刻むようにして「併合の原因」を摘出した自省の書である。

   1860年代、韓国は事実上崩壊していた。しかし、李朝政権は外交と軍事を清国に任せ、安閑として政争に明け暮れていた。独立の意志を喪失したこの国を、清国とロシアが植民地化しようとしていた。この事態は、日本の安全保障にとって重大な脅威だった。米英両国もロシアの進出を警戒していた。そして、日本の朝鮮支配とアメリカのフィリピン支配を相互承認する「桂・タフト協定」が締結される。

   著者は、こうした東アジア情勢の中に、李朝の腐敗、日本の開化政策、清国軍隊の暴虐、金玉均らの独立運動、閔妃殺害、李容九らの「日韓合邦運動」などの歴史イベントを配置して、「併合」に至る道筋を跡づけていく。

   韓国の改革を考えない政治指導者たちが「一貫して日本の統治下に入らざるを得ない道を自ら大きく開いていった」一方で、李容九らは民族の尊厳の確保をめざして「日韓合邦運動に挺身していた」。しかし、彼らが「民族の尊厳の確保」を托した「韓国併合」は、朝鮮人を常に圧迫するものでしかなかった。その結果、「国内で最大限の努力を傾けた李容九らを売国奴と決めつけ」「国内では表立った活動をすることなく外国で抗日活動を展開した」李承晩らを愛国者・抗日の戦士と高く評価する「不当なバランスシート」が作られたという。激越な痛みのこもる自省の言葉だが、それはまた、李容九らをむざむざ「売国奴」にしてしまった日本人に対する痛恨の思いとも聞こえるのである。(伊藤延司)