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酔いどれの誇り (ハヤカワ・ミステリ文庫)

価格: ¥924
カテゴリ: 文庫
ブランド: 早川書房
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クラムリー!! ★★★★★
これがやっぱり最高ですね、クラムリーは。

ハードボイルドって大人の読み物といわれ
てますけど、基本、精神性が子供じみてる、
というか男の子じみている、と思うのです。

だから、逆に高校生とか大学の頃のほうが
素直に読めて、老けたら案外シラけます。
一時期はやった、冒険小説とかも同じですねえ。
ヒギンズとか、年くうと、読めない。

だけどこの作品だけは、何度読んでもいい!!

ヒッピー時代の終焉を、愛着こめて、
でも距離を置いて描くところ、
ダメ人間に対するやさしさ、
すべてが愛おしい作品です。

ボネガットの「ローズウォーターさん」
に通じるやさしさとシビアさを、
ぼくは感じます。

ただ面白い、という以外の魅力が
いっぱいつまった、本当に名作です!!
頽廃的だが叙情豊かなストーリー ★★★★★
アメリカ西部の自然豊かな田舎町で酒びたりの生活をしている私立探偵のミロ。ある日ミロのもとへ失踪した弟を探してほしいと1人の若い女性が訪れる。真相が明らかになるにつれ、町は大騒動に包まれ、ミロは1人満身創痍で立ち向かうハメに。
年中酒場に入り浸りのミロは私立探偵の腕も二流、廃業も真剣に考える。そこにあらわれた1人の女性。大自然の田舎町を背景に酒場の友人たちとの絆、男として貫き通すものとは、を考えさせられる。頽廃的で投げやりなミロだが、心に響く深い余韻、叙情豊かなストーリーに仕上がっていて極上のハードボイルド。文句なく☆5つ。
二度と味わえないかもしれない酔い心地 ★★★★★
クラムリーの翻訳本はすべて読みました。個人的にはこの本が最も好きです。「さらば甘き口づけ」や「明日なき二人」もいいのですが、今まで読んだ全ハードボイルド中のベストはこれです。きついバーボンをがぶ飲みして、ぐでんぐでんになり、そこらじゅうに吐捨物を撒き散らし、挙句暴力を振るって周りのバッシングを受けながら、それでも、とても苦いが素晴らしい酔い心地と余韻に浸ることが出来る、そんな作品です。無制限にツケの効く店であるとか、ミロの出自であるとか、背景設定に抜かりはなく、会話も「クソ」がつくほど上質です。いちいちニヤリとさせられます。
 クラムリーの作品に共通するのは「許容」と「寛容」だと誰かが言いましたが、この本のラストのミロのひとことは、深く切なく心に滲みます。今からこの人の作品を読める人は、読書人としての至上の喜びが待っているのですよ。
ほんとは星7つ ★★★★★
私的に言わせて貰えばこの「酔いどれの誇り」は生涯出会った小説の中で最高傑作である。クラムリーが世に発表した作品は呆れる程少ない。それでも初期に発表された、本作品と続編「ダンシング・ベア」、さらに主人公の異なる「さらば甘き口づけ」の三作品はいずれも奇跡のような出来栄えの小説である。よってクラムリーはマイベストの作家なのだ。

舞台はアメリカ西部。広大な自然に抱かれながら、その日暮らしを続ける酔いどれ探偵ミロ・ドラゴヴィッチ。
さりとて優秀ではなく酒にだらしなく、せいぜい凍結された親の遺産が入る日を心の糧にしている決して出来の良くない男である。そんな彼の元に美しい女が現れ、失踪した弟の捜索を依頼される。そして...

ストーリーをざっと説明したところで、それはそこらによくある探偵小説とさほど変わらない。
本作品を名作たらしめる要因。
それは美しく逞しく描かれた大自然の情景と、それに反比例するかのような未練がましく言訳だらけでよこしまな主人公の姿。

しかしそれでも絶対譲れない強い信念と優しさがこの探偵ミロにはあり、作品ラスト箇所でようやくそれは読者の心に届く。
人は強くなければ生きられないが優しくなければ生きていく資格がない、とはかの有名な言葉であるが、クラムリーの描く作品世界には常にその言葉が鳴り響いているような気がする。

何度読み返しても素晴らしく、嫉妬すら覚える作品である。

男の哀しさが分かる ★★★★★
クラムリーの作品を初めて読んだ。表紙には“An exceptionally good example of the private-eye novel・・・”とある。確かに私立探偵が登場するが、腕っ節が強いわけでもなく、推理が冴え渡っているわけでもなく、男前でも無さそうだ。他の登場人物も、アル中の店主の酒場に入り浸っているアル中や、目覚しい活躍とは対極の普通の警察官など「恰好よくない」連中ばかりだ。私は別に「探偵小説ファン」ではないので、その世界に詳しくは無いがR.B Parker や H.Cobenの主人公のようにスタイルが決まっているようでもないようだ。(この2人のシリーズも大好きですが。) 探偵小説という分類より一つの(文学)作品として、西部の小さな都市の下層に生きる人たちを描いていて、全く異質なものでしょうが、私はMcCullersを思い出しました。 初めの方に出てくる“Cells wither like ash with every beat”という一文で引き込まれ、終わり近くで主人公の父親が少年の主人公に語りかける場面での“he was smiling an oddly distant smile, like a man who can see his own future and accept it without complaint”という一行に涙し、最後に主人公が想いを寄せる女性の正体で脱帽。