既に古典的な価値をもつ
★★★★☆
ジェイソン・ボーン・シリーズは、現在われわれが観ることのできる最良のアクション映画のひとつであるといえるだろう。
ダグ・リーマン(Doug Liman)とポール・グリーングラス(Paul Greengrass)という新しい感性をそなえた監督により生みだされたこのシリーズは、事実上、ハリウッド映画における21世紀のヒーロー像を変容させることに成功した。
この映画を非常に優れたものとするのに、大きな貢献をしているのが、イギリス出身の作曲家ジョン・パウエル(John Powell)による音楽である。
しばらくのあいだ、パウエルは、ハンス・ズィマーの主催するメディア・ヴェンチャーズと関係をしていたが、ハリウッドにおける自己の足場を固めると、そのことに呪縛されることなく、すぐに独自の道を歩みはじめることに成功した数少ない作曲家のひとりである。
周知のように、ハリウッドのアクション映画における音楽の「方程式」は、ジェリー・ゴールドスミス(Jerry Goldsmith)が確立したが(因みに、ジョン・ウイリアムスは、そうしたところとは離れたところで、純粋にひとりの偉大な存在として君臨する純粋な作曲家であると思う)、個人的には、1990年代には、既にゴールドスミスという作曲家の感性そのものは既に時代遅れのものとなりはじめていたと思う。
そうした空白のなかに登場したのが、たとえばジェイムズ・ニュートン・ハワード(James Newton Howard)であり、また、ハンス・ズィマー(Hans Zimmer)であったのである。
ジョン・パウエルの音楽を聴いていると、わたしは、ジェリー・ゴールドスミスにはじまり、ジェイムズ・ニュートン・ハワード等を通して継承されてきたひとつの伝統がたくみに引継がれているような感覚を覚える。
ゴールドスミスの作品は、即興の感性が希薄であるためにか、微妙に「型」に縛られた音楽に聴こえる。
実際、正直なところ、今日の感覚で聴くと、とりわけ晩年の作品の多くは、少々ダサイとさえ思う。
しかし、ハワードやパウエルの作品に対しては、そうした感覚を覚えることはない。
しかも、そこには、たとえばメディア・ヴェンチャーズ所属の作曲家の作品が漂わせる機械的な空疎さがない。
この「ボーン・スプレマシー」(The Bourne Supremacy)は、ジェイソン・ボーン・シリーズの第2作であるが、そんなジョン・パウエルの魅力がもっとも端的に表現されていると思う。
とりわけ、“Berlin Foot Chase”と“Bim Bam Smash”という華麗な追跡シーンを演習した楽曲は、既に古典的な価値をもつということができると思う。
前作の持ち味を受け継いだサントラ。
★★★★★
前作のテイストを残しつつ、重厚さを増したサントラ。
カーチェイスのシーンで流れる「Bim Bam Smash」の派手さも去ることながら、
サスペンス部分の曲も徐々に盛り上げていく形をとり、退屈なものには仕上がっていない。
サスペンスアクションのサントラとしては文句なしです。
Mobyの「Extreme Ways」が収録されているのも大きい。
2作目でこれなのだからアルティメイタムはどうなるんだろう。
今から楽しみで仕方ない。
漆黒の闇に生きる男『jason・bourne』
★★★★★
続編もの・スパイ映画でここまで凄まじい音楽は後先出るか出ないか…‥。
マットデイモン演じる寡黙なジェイソンボーンという男を音楽で表すとこうなる。作品がスパイ映画の一級品ならば音楽もまさに一級品。格好いいだけでは済まされないのがボーンシリーズ。上っ面では語れない類を見ないサントラと言えるでしょう。
個人的に好きな11曲目は本当に凄い。カーチェイスに使われる曲なのですがテンポが非常に良いのと本編カーチェイス後半のトンネル内での音楽はまさに胸を締め付けられるほど息をのむ。
そして、エンディングに至ってはまさかの前作の使い回し…‥ではなく、素晴らしいの一言。ボーンのテーマ曲としてこれ以上のものはないでしょう。本編最後の続編への期待に引き付けさせといてジェイソンボーンが去ると同時に流れだすこの曲、もう言うことないです。次回作のエンディングにも使用して欲しいですね
ジョン・パウエル氏だからこそ成せたこの作品、この世界観を一層引き立たたせてくれるのはこのサントラ。
ボーンシリーズを好きな方、またはスパイ映画好きな方には是非、お薦め致します。損は絶対にしないはずです。
そして、3作目となる『boune ultimatum』の公式ページを見る限りではまたやってくれそうな勢いですね。予告編に使われる音楽もまた引き付けられます。
気になる方は見てみて。
エンディングの歌
★★★★★
映画を観て、エンディングの歌が欲しくて購入しました。「...アイデンティティー」のDVD(私が購入したのはツインパックです)にプロモーションビデオが特典として収録されていますが、気軽に聞くにはCDが便利ですね。
「...アイデンティティー」も「...スプレマシー」も同じ歌がエンディングに使われています。「...スプレマシー」を見終わった時に「...アイデンティティー」のラストが思い起こされて涙が出そうになりました。
ボーン再び
★★★★★
前作同様、重厚かつスリリングな曲が多くさらに、全体的にマリーの死によって再び孤独になったボーンの悲壮感を感じさせる曲がおおい。聞き飽きることのないサントラとしては傑作。