深いです。
★★★★★
二十歳の頃何気なく本屋で見つけて買いましたが、とても二十歳の若造の読みこなすような作品ではなく、すぐに読まずに手放してしまったのですが二十年近くたった一昨年もう一度挑戦してみました。とにかく深いんですよ内容が!!憎悪や妬みとか、絶ちがたい異性への思慕とか人間の心の奥にある深層心理を鋭くえぐるような文章での描写に感嘆しました。長屋王の変、安積親王の謎の死、聖武天皇の彷徨、そして大仏建立と立て続けにおこる歴史的事件の解釈は、あくまでも作者の想像にすぎないはずが、鋭く丁寧な心理描写のおかげで無理がなく説得力があります。飛鳥、奈良時代の歴史に興味を持ってるかたにお薦めの作品ですよ。