おすずとは自害した許婚の名前。自分を忘れてちゃんと嫁入りし幸せになってくれるものと思ってたのになぜ?…ということで、信太郎が真相究明に走ります。ここからはじまり。
大店の様子、町人の親子関係、長屋に住む幼馴染、吉原の風物など、江戸のあれこれが丁寧に詳細に描かれていて、時代小説読みによっては涎の出る作品です。おすずが最後に会った時に着ていた振袖の色は当世の流行り。角火鉢の猫板に酒の肴を乗せて晩酌。長屋のどぶ板が鳴る音、障子に映る陰…
文庫はまだ1冊ですが、シリーズは4作以上続いているので今後にも期待が大。これがシリーズ第一作です。