ゴリラズはイギリスのLeicester Squareで活動しているというカートゥーン・バンドだが、実はブラーのデーモン・アルバーン(2D)と、カルト漫画家ジェイミー・ヒューレット(Murdoc)によるプロジェクトである。究極の実験的な存在であるゴリラズはヴァーチャルにアニメ化されたヒップホップ・バンドで、時にウィットに富んだ、時にばかげた歌を歌う才能豊かなミュージシャンだ。なじみのあるオールドスクール・ヒップホップのリズムと詞が、Deltron 3030のKid KoalaとDel Tha Funkee Homosapien(Russel)の影響を受け、ハイファイでない録音へのアルバーンのこだわりや、エッジの利いたメロディーと合わさり、これまでにない独自の音楽が作られた。ヒットシングル『Clint Eastwood』にはこれが最も良く表れ、2Dの軽いボーカルとメランコリックなハーモニカのメロディーに、Russelのパンチの効いた歌詞がアクセントをつけている。だが驚くのはこれだけではない。『Latin Simone』にはIbrahim Ferrerが『Buena Vista Social Club』から登場しているし、『M1 A1』のスリラーなイントロはマイケル・ジャクソンの『Thrille』も顔負けだ。 ジェイミー・ヒューレット演じるMardocのべース、チボ・マットの羽鳥美保が演じるNoodleのギター、 そして素晴らしいボーカルに 、Dan The Automatorの中村氏のプロデュースが加わり、『Gorillaz』は遊び心と挑戦心の両方で申し分のない作品となった。Caroline Butler
2001
★★★★★
表向きはUK在住ナゾの新人4人組、その実態はブラーのデーモンとプロデューサーのダン・ジ・オートメーターによるユニット。重心低めのブレイクビーツに脱力ギターやダブ、ヒップホップ、ソウル、ラテンなど様々なテイストを絡めたクールなサウンドは、いかにも当時のデーモンの好きそうな路線。ゲストにイブラヒム・フェレールを呼ぶほどやりたい放題&遊び心いっぱいだが着地点はクレイジー一歩手前。
デーモンのポップ・センスが再び開花した一枚
★★★★☆
アメリカ映画のクラブのシーンなんかでゴリラズが流れていたりすると、本当の本当に成功したんだなと今更ながら妙に感慨深い。我らがデーモン・アルバーンと『タンク・ガール』などで知られるコミック・イラストレーターのジェイミー・ヒューレットが生み出した、2D、ヌードル、マードック・ニカルス、ラッセル・ホブスの四人組からなるギネス認定の「世界一成功した架空バンド」であるゴリラズ。本作は、ブラーでさえも成しえなかったアメリカ進出を見事に成功させ、全世界で700万枚という驚異的なセールスを記録した彼らの記念すべきファースト・アルバム。ここ何年もアフリカやアジアなど世界各地の音楽に対する興味と好奇心からくる凄まじい生産性でほぼ毎年なんらかの作品を発表しているデーモンだが、ザ・グッド、ザ・バッド・アンド・ザ・クイーンなんてバンドを掛け持ちしているところからもわかるように、作品を作る上で彼は自分が「ブリティッシュ」であるという前提をすっ飛ばしたことなんて一度もなくて、だからこそそれはあくまでイギリス人的な視点で再解釈された新しい音楽として成立していた。本作の全体的なムードを作っているメランコリックなメロディも、絶対にアメリカ人には書けないものばかりだ。それに加えてそれまでのデーモンの創作活動の重要な支柱だったグレアムが不在の新しいバンドでここまでワールドワイドなリアクションを得られたことは、ゴリラズのこの作品がこの後に繰り広げられる彼の数々のプロジェクトの第一歩だったという点でも非常に重要な意味を持っていたのではないだろうか。ブリット・ポップという狂騒が彼にもたらしたものが、お祭りの高揚感ではなく紛れもない敗北感だっただけに、本作がデーモンを「次」へと進ませる重要な契機となった意味はやはりとてつもなく大きい。
凄い
★★★★★
このおかしなマスコットキャラクターの絵の裏に隠されていたのは
悪ふざけの遊びでもなんでも無かった。
ひたすら豊潤で懐の深い英国天才ミュージシャン、デーモン・アルバーンの才能の刀だった。
HIP HOPをフューチャーして、アメリカでも大ウケだったが(狙ってたのかどうかは定かではない)
ブラーは知らないけどゴリラズは知ってると言うアメリカの若者も多いらしい。
英国の現在のシーンを見渡すと
デーモン・アルバーンがやって来た事の二番煎じをいくらでも発見出来る
それほどなのだ。最先端でブレがまったく無くしかもカッコイイ
こんな事が出来るのはデーモンだけだ
デーモン流HIPHOP
★★★★☆
僕はヒップホップはあんまり興味なくて聴いたことがなかったのですが、このアルバムはイイ!!
ヒップホップな音楽性を持ちながら、ヒップホップ独特の汗臭さが感じられません。
普段ロックを聴いていて、ヒップホップになかなか手を出せないでいた、そんな人にお勧めのアルバムです。
ロックとヒップホップ、水と油のようなこの二つのジャンルを旨く混ぜて調理したセンスがすごいです。
デーモンの才能を改めて実感しました。
逆にヒップホップだけを普段聴きまくっている人にはもしかするとピンとこないかもしれませんが。
星四つ止まりなのは次作がさらによい(スルメ盤!!)からです。聴きやすいのはこっちですが。
とてもクセになる☆
★★★★★
ヒップホップ、ロック、ダブなどジャンルミックスミュージックとでも言うのでしょうか。ただデーモン・アルバーンの手によって、聴きやすいけどとても味わいがいのある「含みの多いポップミュージック」に仕上がっている作品です。また食傷しないポップ加減というのかバランス感がいいです。彼のこういう才能をより世間に印象付けたアルバムとも言えるかもしれません。
スタイリッシュで抜け感が心地良いサウンドに引っかかりのある色付けや独特のムードが施されていて、ついついクセになってしまうんですよね。ツボを押されます。
ゴリラズのオリジナルアルバムは二枚発表されていますが、こちらのアルバムのほうが個人的には気に入ってます。ありそうであまりない音楽なのでハマる人にはたまらないんじゃないでしょうか。