なぜ王子は幸福なのか?―人生における本当の尊さを知る
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高校司書である母との何気ない会話のなかで登場した本である。幼少時代にみずから読んだ、あるいは読んでもらった記憶があるのかないのかも定かではないが、母の話を聞いているうちに実際に読んでみることが賢明であると思えてきた。著者のオスカーワイルドは1900年に他界しているので、本書は一世紀以上も前の本ということになる。分量は実に短い。しかし本の意味するものは限りなく深い。「今だからこそ」という紹介文も得心できる。
曽野さんの「あとがき」をあとから読んでみると、本書の生い立ちや基本的な読み方などを分かりやすく手ほどきしてくれる。貴重な「あとがき」である。わたしとしては本書を貫流する世の中の「理不尽さ」や「不条理さ」を重く実感せざるを得ない。「幸せ」とは何かを知るためにはその正反対のことを知ることが不可欠である。そのことに「気づいてゆく」プロセスも読み応えがある。大人には大人の解釈があるだろうし、子供には子供なりの理解があるだろう。世代を超えて読み継がれてゆく作品の1つだろう。最後の数行があるからこそわれわれは読了して少し安堵できるのではないか。装画も素晴らしい。
現代だからこそ・・・
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初めは、高校の英語の授業でこの物語に出会いました。
その後、姪っ子へのプレゼントとして何にしようか考えあぐねこの本に辿りついた訳ですが、
改めて読み返すと感動で涙がこぼれていました。
歳を取って涙腺がゆるくなったのか、それとも大人になって
物語の深さを感じ取れるようになったためなのか。
子供の童話は残酷だとおっしゃる方もいます。
物は見方、見方を変えると残酷も幸福に、幸福は残酷に見えます。
なぜ、この物語のタイトルが【幸福な】王子なのか、読み終えたときに
わかると思います。手にとって間違いない1冊です。
自然に落涙します
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ごく子供のときに本がぼろぼろになるまで読みました。大人になって
英語で読みました。子供のときに読んだ本が、抄訳ではなく全てを子供に
伝えたものであったことを知り改めて驚きました。今回は装丁と書籍の
かもしだすムードから大人が読んで十分応えられるようなものだと思います。
それから英語を読んでいてどうしても結末で観念的に理解できない部分がありました。
神と天国の部分でどう解釈しても????・・・しかしいわゆる無宗教の
私にはわからないであたりまえ、ということがこの本のあとがきでわかり
ました。さすがに曽野綾子先生の新訳です。あとがきでも人をうならせます。
三十路になって初読
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三十路も過ぎて、この名著を初めて読みました。
きれいな装丁に惹かれ読んでみたのですが、
涙ぐんでしまいました。
真の意味での幸福とは…ということを考えさせられる
美しい童話です。大人にも子供にも読んでほしい一冊です。