パナパナ書店
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王子は涙を落として言った。生きていた頃は涙なんて知らなかった、と。死んでから銅像として高所に置かれ、初めて世界を眺めた時だ。楽しい事しか知らずに生きていた過去は果たしで幸福であったのだろうか。初めてこの世の悲しみや苦しみを知って、王子の心は震えた。そしてそんな王子に恋をしたツバメもその心の震えを満たす為に王子に寄り添った。震えた心を自分の力で満たすことこそが、自分自身の「生」の証明であって、そうする事によって人は幸せを感じるものなのだ。ツバメはプライベートな方向から、王子はパブリックな方向から、そのアイデンティティーを満たすために、自分の命をも厭わぬ行動に出たのだと思う。これはよく言われる「自己犠牲の愛」とか「無償の愛」というものではないと思う。与えることによって、自分が与えられ、満たされているという事を知る・・・これが幸せの本質なんだと思う。
マニマニ
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オスカー・ワイルドの童話『幸せな王子』がアーティスト清川あさみの糸や布、ビーズなどを使い緻密に縫いこまれた作品とともに新たな絵本となって現代によみがえる。
■■■素材の異なる布の重なり合いがとても美しいです。感性が心の奥にしとしと流れ込んでくるような感覚。私はもう大人になってしまったけれど、幼少期だったらきっと毎日眺めていたかも…キラキラと瞬く宝石箱を見つけたみたいですよ。
LOTUS
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美しい絵本。美しい物語。いつまでも手元に置きたい一冊。
月神の図書館
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わたしが読んでいた当時は「幸福な王子」という邦題でした。当時は、王子様がかわいそうでとても悲しい物語だと思っていました。決して幸せだとは思えませんでした。でも、大人になってようやくこの物語の本質がわかったような気がします。今の自分が忘れている大切なことを気づかせてくれる作品です。王子もツバメも幸せだったんだと思う、けど、それでも、やっぱり悲しい。