上質な大人のマンガ
★★★★★
普段マンガは読みません。
ですが「舞姫」とこの作品を読み、一気に作者である山岸さんの
大ファンになってしまいました・・・!!
酸いも甘いも嗅ぎ分けた大人のやるせなさというか色気がありますね。
こゆいエスプレッソを飲んでいるような時間がすごせます。
この作品も最後まで小さな伏線、伏線でハラハラして飽きさせず、
中盤などは全く予想しない展開にびっくりしました。
そして最後、希望のある展開でほっと一息。
とてもバレエに興味が沸いています。
普段、読み物は小説派の方もスゴク楽しく読めるはず。
悲劇の中にも心温まる物語だった。
★★★☆☆
バレエを舞台にしているが大人の恋愛物。じっくりと読むと味わいがある物語だった。
スポンサーの高遠に16年ぶりの恋をする43歳の礼奈。だがそれは仕方ないと思う。思わせぶりな高遠。独身で41歳となれば、礼奈が勘違いすることだってある。それに対して高遠が惚れて、すでに手を出していたのは礼奈の娘・舞。まだ16歳だ。しかも妊娠までさせている。事実を知った礼奈は「自分が恥ずかしい。高遠の目には自分はただの中年女と映っていたのに」と自虐的に泣き笑うが、「お会いした最初の時に自分の心は舞さんでいっぱいになった」という高遠の精神構造の方がどこかおかしい。
そして礼奈にさらに襲いかかる悲劇。だが、実は、どんな時にも礼奈の側にはナイトがいたのだ。礼奈が気づかなかっただけ。演出の中河原の存在は礼奈にとってこれから大きな支えとなるだろう。悲劇の中にも心温まる物語だった。
初めての山岸涼子作品
★★★★☆
星がひとつ減ったのは作画が目になじむのに時間が要るので(いつもは「槇村さとる」作品を見ているので)ストーリーはほかの人が評価されているとおり、バレエの裏方の話題が中心になっている感じですね。
ただ、圧倒される
★★★★★
最初は、書き込みが少なくて白い画面に手抜き感を感じましたが、
途中から物語にぐいぐい引き込まれていきました。
展開していく主人公の生き様と壮絶な出来事の流れに、
ただただ、圧倒される。
白い精緻な画面の空白自体に物語が入り込んでいくような、
不思議な感覚でした。
テレプシコーラのときも思いましたが、伏線の描き方が
とても上手いです。
追い詰められた人間の心理や、よりどころを失った人の絶望の表現は
神がかり的としか言いようがありません。
物語終盤のミルタのシーンでは、思わず鳥肌が立ちました。
バレエの世界に渦巻く「怨」の部分を垣間見たような気がします。
恋愛やバレエといったものを描いているのに、その根底に流れる
もっと深い「情」や「業」、「命」を表現しているのは見事。
ある意味完成された1冊だと思います。
テレプシコーラ2部も楽しみです。
女って、コワ可愛い
★★★★★
ジゼルの、ヴィリ(ウィリー)達に重ね合わせて、“女というもの”を描いていますよね。
女の業とか、女が逃れられないもの、乗り越えなくてはならないもの…。
男を呪い殺そうとするヴィリの親玉ミルタと、愛する人を赦したジゼルは、
そのどちらとも、すべての女の中に棲んでいるのに違いない!
えぐるように描く山岸節、鋭すぎてコワイけど、そこがいつも快感です。
テレプシコーラともども、バレエの世界を丁寧に描いていて、読み応えは充分です。