初心不可忘
★★★★☆
この本に収録された『花鏡』
の奥段に有名な「初心不可忘」があります。
能の達人、世阿弥の言う三つの「初心」とは、
「最初の時の芸の未熟さ」、もしこれを忘れると未熟な
初心に戻ってしまうのです。
次に、各々の立ち位置(レベル)での「初心」、
最後に、老後の「初心」です。
「初心」を忘れることがなければ、今と今後のために、過去が新
たに経験し直され、無益な繰り返しから逃れられるという
ことでしょうか。
同じく、『花鏡』だったか、
「離見の見」という言葉も見えます。
「観客の見る役者の演技は、離見(客観的に見られた自分の姿)
である。離見を自分自身で見ることが必要であり、自分の見る目が
観客の見る目と一致することが重要である」
自分が、舞台(人生)に立って演じている自分から抜け出し、客
席の他人の目で自分を観察せよという意味でしょうか。
人生での大切なことも
読み取れるかもしれません。
現代語訳(全訳)はのっておりません。
本文の上部にかなり詳しい意味や背景の説明がのっていますが、
或る程度、古文読解の力があったほうが読みやすいと思います。
『風姿花伝』ものっています。