悩みに悩み抜いている人に向かって、頭ごなしに「そんなこと悩んだってしょうがないよ」というアドバイスをする人がいますが、その人は悩んでいる人に何らアドバイスになっていないことに気付くべきです。悩んでいる人にとって、その悩みはどうしても考え込んでしまうほど切実であるがゆえに、悩みになるはずです。ですから、そんなに易々と考え込むことをやめることなどできないのです。
他方で、考え込んでしまうがゆえに悩みに陥る人は、それからどう脱却して良いのか悩んでしまい、それでまた苦悩するという傾向があるような気がします。そんな人は、苦悩に苦悩するというような思考の悪循環をどこかで断ち切る必要がありそうです。
思考の悪循環から離れたいと思っている人のために、この本は書かれています。
その内容は、押しつけがましくなく、自らで工夫しながら読み進められるようになっています。まさしく、絵本を通じて「考える練習を」することができ、それらの練習をすることで、自分の悩みの源泉や性質を、自ら問い直すことができるという訳です。
どんな悩みにでも効く処方箋のようなことが書かれているわけではありません。その点あらかじめご留意下さい。
けれども、この絵本に書かれた「練習」を通じ、「上手の考え方」ができるような、そんなちょっとした工夫は可能だと思います。そんなちょっとした工夫で、悩みからくる精神的な負担が、少しは軽減されるかも知れません。
私自身、寄り道をするような気軽な気分で、手にとってみました。
ほんの少しですが、気持ちが軽くなったように思います。