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そこに僕はいた (新潮文庫)

価格: ¥420
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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年末読書三昧 ★★★★★
このエッセイ集はいい。小学校から高校卒業までの、作者の生きてきた道が正直に語られている。すごく共感がもてます。この時期は誰しもいってみれば「黄金期」。自慢したいことも一杯あるでしょう。が作者に嘘はありません。(たぶん)一番ぐっと来たのが、本書にも中の良かった友達として書かれていた人物と後年連絡を取ったとき、向こうが「知らないから、会えない」と言ったという記述。胸にグッときます。甘酸っぱい思い出で充満している時期ではありますが、裏側をみると甘酸っぱいだけでないことが解ります。十数年行方不明だった友人との再会の章でも感じられます。甘酸っぱいだけでないからこそ、この時期の思い出はさらに甘酸っぱくなってしまうのかもしれません。スイカに塩をかけるように。
本書は好感の持てる良質なエッセイ集です。
辻仁成版・青春エッセイ ★★★★★
あまたの作家が自身の青春時代のエッセイを書いているが、これほど笑えて、泣けて、切ない代物は滅多にない。現在の辻氏の作品群と比較してみても、本書は全く堅苦しくなく、ライトな書き方。
辻氏はきっと、幼少時代から強烈に自我が強い人だった反面、いわゆる「普通の子供」の部分もきちんと持っていたのだろう。そのふたつの面が彼の中で均衡を保っていたからこそ、こんなにも鮮やかに青春時代を思い起こすことができるし、誰の胸にもすんなりとそのおかしさや切なさが伝わるものを書くことができるのだ。
どんなに時が経っても、辻氏の中にはいつまでも“あの頃の辻少年”が住んでいるのだ。そうして、その少年性こそが、辻氏を素敵な大人に仕立て上げているのだと思う。
…私もそんな人間になりたいなあ。
音信普通になっている友人を思い出しながら読める本 ★★★★☆
福岡(小学生)->帯広(小・中学生)->函館(中・高校生)と転校を繰り返した中で出会った友人やクラスメートとの思い出を記述しているエッセイ。
私も高校まで函館で暮らしていたため、辻氏のエッセイに登場する函館の場所や函館の人の性格などで故郷を思い出し、懐かしく感じることができた。

エッセイでは、新聞配達少年に憧れたり、好きな子に対して気持ちを告白できずにわざとイジワルしたり、多くの少年が経験したような当時の辻氏の思い出が詰まってて、読者が自分の少年時代の思い出とダブらせながら読むことができる。

また、本誌の中で「多くの過去の友達が、現在の僕とつながっていないように...」というフレーズがある。このフレーズを見て、私も昔の友人で、音信普通になっている人たちを思い出している。
おかしくも切ない。 ★★★★☆
この人の小説は幾つか読んだことがあります。
どれも、著者自身の繊細さがほの見えて、私は割と
好きな方です。
ただ、私個人の感想としては、どの小説にも登場人物に
“笑顔”が見えないというか・・・。
読者も気難しい顔して読まなきゃいけないのか?という
気持ちになってしまうんですよね。

前置きはさておき。
このエッセイは、そんな気難しさは一切不要。
著者のおかしくも切ない青春時代のエピソードが
訥々と綴られています。
私は小学校時代の話が好きですね。
初恋の女の子に対する態度。同級生「ゴワス」の武勇伝(?)
マロングラッセの話など、吹き出しそうになります。

ただし、最近まで北海道に住んでいたものとして、
一つだけ突っ込ませてください。
幾ら函館に住んでたからって、あの言葉の言い回しは
ないでしょ〜。
あの場面で「ちがうんでないかい」と言うよりは
「ちがうべやっ!」って言う方が自然ではないかと。
二度と戻れない時間 ★★★★★
 少年時代の美し過ぎる時間に起きた由無し事々が、時間を経てみると何にも代え難い輝きを放っていた、そんな経験が淡々と綴られたエッセイ集です。辻仁成さんの人生観がひしひしと伝わって来るお薦めの一冊です。
 転校を繰り返していた少年時代に起こった数々の友人達の思い出が克明に甦る、その美しさを正直に綴りつつも、過去の思い出の地を訪れてみるとかつての友人達の記憶の中には自分は居なかった、そんな時間の流れの尊さと儚さを両面から描いています。
 筆者の中には、未だ当時の青春時代が続いているのだと思います。過去の時間を胸の内に秘めて描かれる辻作品の根底にある何かを、この1冊から薄っすらと読み取れるような気がします。辻仁成のエッセイ集として別に1冊、「そこに君がいた」もお薦めです。