そうした、音楽の世界をプライは暖かく見守るように歌います。これが3度目の録音だそうです。相澤昭八郎氏の「解説」によると「プライの『冬の旅』は、恋に破れた若者の心情を歌って切々と胸をうつが、決して我を忘れた感情移入ではなく、どこかで哀しい若者を見守る優しい目を感じさせる。若者自身が悲しみを訴えるのではなく、若者を見ている第三者をプライは歌っているのだ。・・」とあります。実際、聴いて、そのとおりのように私は感じます。
もしかすると、勝手な想像ですが、シューベルト自身欲しかったのは、そのような暖かいまなざしだけだったのかもしれません。