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シューベルト:冬の旅

価格: ¥1,050
カテゴリ: CD
ブランド: コロムビアミュージックエンタテインメント
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おおらかな冬の旅があってもいいじゃないか ★★★★★
私は、ドイツ・リートが嫌いだ。特に、フィッシャー=ディースカウの考え抜かれた思考と技巧には辟易してしまう。
彼の絶対音楽に対峙するようなやり方では、最終的には論理と歌詞が相入れないことになってしまうのだ。考える程に支離滅裂具合が増してるように思う。
彼の録音ならば、未だ試行錯誤中といったショスタコやライマンあたりは楽しめるのだが…。

閑話休題。ビアンコーニとプライの当盤は『合わせの段階では2人でいろいろ考えたんだけど、ま、いいか。フツーに弾いちゃえ歌っちゃえ♪』的な自然体の演奏。
「いろいろ考えたあとのフツーに」ってのが案外難しいんですよね〜。これに比べたらプライの旧盤(ピアノはサヴァリッシュ。なお、エンゲル盤は未聴です)は、フツーにやろうとしたのにギコチナクなってる感じがする。

おおらかで自然体とは言っても、曲が曲だけに、太陽が3つに見えたりする不健康でビョーキ的、被害妄想(監視妄想?追跡妄想?→誰も見てないってばよ)的ムードも充分に出てます。
この辺は図らずもシューベルトの天才性が浮き彫りになってますね。

そんなこんなで歌謡曲的に楽しめる仕上がりになっております。ので。ドイツ・リート嫌いな方にオススメです。

辿り着いた『ライアー回し』のシンミリ具合が本当に素晴らしい!!
色調はパステルで明るいのに、全曲が終わると部屋中が寂しさに包まれる…。
暖かいまなざしを感じる「冬の旅」です。 ★★★★★
シューベルトの音楽を一言で表現するとしたら、「孤独」(しかも、救いようの無いほどの・・)と私は言いたくなります。透徹した孤独感と言いますか・・甘えが無いと言いますか・・。寂しいから本当はそばに居て欲しいのだけれど、拗ねて独りで居る、などというのではなく、独り遊びのできる子どものような、ある意味で仲間を拒絶するような、孤独の境地で遊んでいるかのような・・孤独を感じます。ですから、「救いようの無い」というより、「救いをさえ必要としない」孤独と言った方が良いかもしれません。

そうした、音楽の世界をプライは暖かく見守るように歌います。これが3度目の録音だそうです。相澤昭八郎氏の「解説」によると「プライの『冬の旅』は、恋に破れた若者の心情を歌って切々と胸をうつが、決して我を忘れた感情移入ではなく、どこかで哀しい若者を見守る優しい目を感じさせる。若者自身が悲しみを訴えるのではなく、若者を見ている第三者をプライは歌っているのだ。・・」とあります。実際、聴いて、そのとおりのように私は感じます。

もしかすると、勝手な想像ですが、シューベルト自身欲しかったのは、そのような暖かいまなざしだけだったのかもしれません。