耳障りな現代政治家評
★★★☆☆
メディアにて活躍中の著者の書いた本であり、興味を持って手にした。
現在も産経新聞に連載中のコラムの単行本化という。本書では2010年3月までの53項目(54名)が取上げられている。範囲はいささか広い。一番古い人物は徳川斉昭(1800生れ)、一番新しい人物が秋山真之(1868生れ)だが、1868年当時何らかの役目を果している人でなければ、「維新」の範疇に加えるのは不自然ではないか。
著者が時々刻々の政治情勢から想起する人物をアトランダムに取上げているのはコジツケとも思える。その結果対比あるいは連想された歴史上の人物が矮小化されてしまうのは残念だ。桝添要一を河井継之助の項で引合いに出すなど河井継之助が泣く。
むしろ現在などに拘泥せず「幕末維新百名列伝」を書いて欲しかった。
白石正一郎や世良修蔵の遺族に対する長州人の冷酷非情な仕打ちなど有益な知見が得られたのだから。民主党政権に批判的な立場からのコメントは余計である。
好著です。
★★★★★
イスラム史が専門の山内先生ですが、幕末に様々なかたちで活躍した人物のエピソードと現在の政治への思いを述べられてます。新聞のコラムが元ですから、即時性があるうえ簡潔にまとめられています。いかなる形であるにせよ激動の幕末に真摯に生きた人々への慈しみと、現在の政治状況への憤りを感じました。好著です。
待っていました。毎週楽しみです。
★★★★☆
これは、産経新聞毎週木曜に連載されています。
iphoneで読んでいて、いつの間にか、ファンになりました。
単行本化を待っていましたが、ニュースジャパンで、
いきなり箕輪さんが薦めていたのでびっくりしました。
筆者の目線が、一過言持った教養ある近所のご隠居風です。
静かな物言いで、過去を以って今を憂うというか、
文章の佇まいが、朝の東横線でも、私の心を落ち着けます。
しかし、なぜか今回は、改題され、岡田以蔵が落ちています。
残念なのは、新聞では写真等があったのに、今回は文章のみです。
それで、減点☆です。
以蔵の回も、人斬りだけではなく、哀切の情を含めながら、
その裏側を解説していました。
次回は、是非、以蔵を入れた続刊をお願いします。
とにかく面白い歴史読み物
★★★★★
本書は、中東を中心とした歴史研究で知られる著者が、幕末維新期に活躍した人物を取り上げ、月旦を加えたもの。もともとは、新聞での連載なので、いちいちの文章は短く、読みやすい。よって通勤電車での読書に向いているだろう。
博識の著者だけに、過去の人物について興味深い逸話が多く紹介され、また、意外な観点からの考察も面白い。加えて、現在の政治家についての著者の評価にも驚かされる(著者は中川昭一を認めていたようだ)。