現代へと連綿と続く古代からの道
★★★☆☆
主人公は二流広告会社のやり手アドマン。彼は社の命運をかけて大手製薬会社との契約を取ろうとする。権力闘争に明け暮れる製薬会社の内部に切り込んでは見たものの、自分とは違った意思である方向に流されていく自分を主人公は発見する。そこで筆者を思わせるミステリー作家の介入で事件は思わぬ方向へ舵をとられ、場面はいつしか古代記紀の時代を偲ばせてくる。なぜ製薬会社が古代神道と関わりを保とうとするのか?まさか現代日本へ転用の利く製品が古代神々の時代から存在していた事を知った驚き。またそれを巧みに論理立てて証明していく作者の上手さ。記紀の時代より人間の本質は現代でもなお普遍の物であるのか、、、と考えさせられる一冊である。