続く各章では、氏の、様々な時代の、様々な場所(日本を含む世界各地)における旅の記録なのですが、
氏が断わりを入れているとおり、「何を見た、何を食べた、なにをした」といった類の、
単なる旅行記ではありません。
これらのことを契機として、『立花隆が、何を、どのように考えたか(思索したか)』の記録です。
つまり、我々読者は各章を読むことで、
「氏がどのようにして、自らを現在の立花隆たらしむべく創っていったのか」
を探る旅に出掛ける事になります。
氏が、「この世界を本当に認識しようと思ったら、自らの肉体を移動させること、
つまり必ず旅が必要になる」と言うところに、
私は氏のジャーナリストとしての、知の巨人としての原点を感じました。
勝手に氏を「心の師匠」と仰ぐ私にとって、この本は待ちに待った本です。
中に納められた写真、特にキリスト教に関係する写真も素晴らしいです。
圧倒的な分量にも関わらず濃密な内容の文章と、ビジュアル的にも楽しめる写真を併せて、
間違いなくお買い得です。