全体的に残念
★★★☆☆
架空の時代の架空の世界でのリアルな話。主人公の何でも受け入れて位しまう女の子の描写や、人の弱みにつけこむ登場人物など、著者らしい世界観で描かれている。ただ、全体的に残念。
軽くて可愛い
★★★★☆
ケータイ小説、ということを読み終えてから聞いて納得。
話のテンポは軽く、女の子が好きそうな、可愛い内容。
途中、シリアス?な面も出てはくるものの、それも軽い。
サクサク読めるので、読後感は薄いかも。
しかし、だからと言ってこの小説が低レベルかというと、決してそうではない。
わりと面白かったのです。女の子の不幸な?顛末。
その不幸とされていることは、自分にも当てはまっていたりして。。。
例えば、大声で歌いたい(自分の理想をかなえたい)けど、それが他人には迷惑をかけていたり。
それが故に、自分の中で封印せざるをえなくなってしまったり。
ま、この小説は、あまり難しく考えず、パッと読んでクスリと笑って、それで十分じゃないですか?
寓話
★★★★★
人が良すぎるが故に傷ついていく少女の物語。そう一言で言ってしまえば簡単なのだが、感傷的な話にとどまることなく、それ以上の深みを提供してくれる作者には感服する。僕はこの作品から、人を信じるという事の表裏を感ずる事ができた。全年代に読んでもらいたいと思える、寓話的な魅力がいっぱいつまった作品でした。
ケータイで読みたかった!
★★★★★
ケータイを使いこなすことができず、ケータイに振りまわされている自分としては、ケータイ小説というものが信じられなかったのだが、まさか阿部和重がケータイ小説を書くとは……ケータイで読むべきだった!あの小さな画面で無限のスクロールを重ねれば、もっとあのスリリングな展開を味わえたのに!
もちろん女の子を主人公にしたストーリーはいつもながらにばかばかしく(もちろん褒め言葉。もっとも男の子が主人公のほうがいっそうばかばかしくて涙ぐましいけど)、主人公シオリのうっとおしいまでにピュアなキャラも、妹ノゾミとの淫靡な関係性も十分におもしろく、ここちよく読むうちに、加速度的に悲惨な運命に突き進んで行くところは阿部節全開。暗闇を駆け抜けるタイプのジェットコースターに乗ったみたいに、地方都市から東京へ、東京タワーの展望台から都内の地下鉄で二番目に深い所にあると言われている千代田線国会議事堂前駅の地下ホームへと、左右上下に振りまわされ、気がつくと減速した車両は明るい出口へ。はい、物語はおしまいです。
電車が駅に着いてしまったり、充電が切れたり、接続がうまく行かなかったり……という状況でケータイに振りまわされつつ読みたかったかも……と思いながら、最後まで指でページをめくり続けてしまった。
エンターテインメント小説
★★★☆☆
読み始めてすぐに、これは文学ではないな、と思った。読み終えた今でもその印象は変わらない。これはエンターテインメント小説である。その分、阿部和重の小説としては物足りない。携帯の小説サイトに連載したということも関係あるのだろうか? 文学とは呼べない軽さ。それがいい意味での軽さになっていない。文体は平易になっているものの、内容まで薄くなってしまってはしょうがない。