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木戸孝允 (幕末維新の個性)

価格: ¥2,730
カテゴリ: 単行本
ブランド: 吉川弘文館
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桂小五郎ではない、木戸孝允としての役割 ★★★★★
桂小五郎と木戸孝允という名前は違うが、ここまで人生の軌跡が違うのかと驚くばかりである。更に、政治的スタンスも改名後から変貌していく。それは、志士としての桂と政治家木戸としての役割がそうさせるのか?
本書は、志士としての桂ではなく政治家としての木戸の役割を書き記している為に、志士としての桂ファンとしては食い足りないものがあるのかもしれない。だが木戸が活躍するのは、明治以降の政治家としてであろう。版籍奉還、廃藩置県、欧米使節、明治6年政変など最重要な時代区分に木戸は大いに活躍している。それは理想国歌を築いていこうとして、その志の半ば倒れた志士達の遺志を継ぐように。

以外と知られていないのは、戊辰戦役に於ける敗戦処理として木戸が旧会津藩士と接触を行い、彼等を中心に北海道開拓の建白書を提出した件である。こういった木戸の敗者に対する細かい心配り(逆に最高機密である薩長同盟を文書化し、阪本龍馬に裏書させるほどの神経質さ)がでており、こういった実績をもっと喧伝してもよいのではないだろうか?
詳細な明治以降の木戸資料 ★★★★☆
 昭和62年の菊池寛賞作品「醒めた炎」以来、桂小五郎こと木戸孝允が大の贔屓になった私にとって、本書は待ちに待った本だった。
 というのは、維新の三傑と言われながら、西郷・大久保に比して本でもドラマでも主役として扱われたことが絶対的に少ないのである。

 西郷、大久保の関係については、それこそドラマでも小説でもいくらでも取り上げられている。しかし、西郷・大久保の対立関係というものが、司馬遼太郎が書くように歴史的に巨視的な分岐点だったとは自分には思えないのである。司馬遼太郎という人は、実際には自身の好悪や興味で評価の軽重を歪めてしまう事が多く、徳川家康や木戸孝允などは司馬によって過小評価された典型といってよい。

 西郷・大久保の構図よりも、木戸孝允と大久保利通の、対立と和解を繰り返した特異な関係性の方が、以降の近代日本の政治史を語る上で、重要な構図を含んでいるように思えてならない。

 木戸という人は、革命政治家として恐らく日本史の最高峰に位置する人物と言ってよいだろう。日本史における”革命家”という人種は、そもそも絶対数が少ない上に行動と結果が伴わない空論家が多いが、木戸孝允ほど理念と行動と結果のバランスが取れた革命政治家は、日本史においてそれ以前にも以後にもいない。
 一方で、大久保利通もまた、権力政治家として同じく日本史の最高峰に位置する人物であろう。大久保ほど”権力を握る”ことの真の重要性と責任を理解し、その行使において冷徹さと果断さを発揮できた政治家は、やはり日本史において絶無ではないにせよほとんどいない。

 彼ら2人に部下として仕えた大隈重信は評する。
「木戸は創業の人なり。大久保は守成の人なり。木戸は自動的の人なり。大久保は他動的の人なり。木戸は慧敏闊達の人なり。大久保は沈黙重厚の人なり。もし、主義をもって判別せば、木戸は進歩主義を執る者にして、大久保は保守主義を奉ずる者なり」

 ここまで対照的に、深刻に対立した2人でありながら、明治維新を完遂せんとした点においては木戸と大久保は無二の同志であり盟友であった。大久保は、親友である西郷を切り捨てても、どこまでも木戸との提携を選択している。一方の木戸は、大久保の独裁と人間性に最後まで強烈な反感を持ちつつ、悲劇的なまでに”物事を見通す眼”が聡明であり過ぎ、結局は大久保と協力する。
 
 明治10年までの明治維新史は、この2人の人間関係としては悲劇的でありながら、政治的には必然にならざるを得なかった不可分の関係性が、中心にあったのである。
なかなかに手強い一冊。 ★★★★☆
正直、気軽に読める感じではない。
個人的に文書スタイルや文体が合わないだけかもしれないが・・・。
ただ、記述の信頼性や内容には申し分ないように思える。
引用元の発言者の立場や考え方も分かる形になっているので木戸孝允という人に良すぎるイメージになってしまったり、逆に偏見を持つ事もない。
良いバランスが保たれていて、人物像が浮かび上がってくる。

ただ、ホントに気軽に読める感じではないので、幕末維新史に相当程度興味のある上級者(木戸あたりを読む人は相当興味があるのだろうけど)向けと思う。
時間をかけてゆっくり読む感じになってしまいそうな本である。
木戸孝允と明治維新―この時代を知りたい人に。 ★★★★★
木戸孝允をテーマにした本はそう多くはない。そんな中、本書は成立したての維新政権と明治という社会と木戸孝允の関係をを事細かに史料(資料)を追いながら記述している。明治初期の政治・外交史、そして木戸孝允の研究をしたい人にはうってつけの本。この著者の本はみんな実証的で、わかりやすく、おもしろい!本書の参考文献にあがっているアーネスト・サトウ『一外交官の見た明治維新』や同じ筆者の『維新政権』を紐解きながら、時には小学館の『明治時代館』を見ながらヴィジュアル的に把握したり、いろいろな楽しみ方が出来る、ゆっくりじっくり取り組みたい一冊☆木戸孝允と「明治」を本当に知りたい人におすすめ―。明治維新史を知る大きな「糸口」になるだろう。