「情報社会」というものを、メディアから、経験から当然のように多くの人々の知るところとなった昨今、私たちは「情報社会」をあまりに単純な技術革命と考えるフシがある。いっぱしの大学の学者にまでこの傾向は明らかに見てとれる。だが現実には我々はこの革命の潜在力を、プロセスをどこまできちんと考えているだろうか。アメリカのITブームが去ったことで、単純なIT信仰が終わりを迎えたとすれば、今こそ、私たちは19世紀の産業革命に次ぐといわれるこの「大変革」について、腰を据えて、より多面的に考える必要があるのではないか。
著者は現在第一線で活躍している、名前だけ聞いても平伏したくなるような社会科学者たちが論じる様々な「情報社会」論を、極めてクールに・平易に解説すると同時に、批判的検討を加えている。
本書は私たちの「情報社会」への安易なイメージを吹き飛ばし、より真摯に・多面的に、現代における最大の変動を考える上で最良であると同時に、一線の社会科学者の入門の書としても価値があるはずだ。