金魚の品種、遺伝・交配の歴史。古民具・文化雑貨。文学と様々な観点に触れ、広くその知識を伝えるすばらしいつくりとなっています。
久留幸子さんの写真は愛らしく優美、岡本かの子さんの小説「金魚繚乱」では言葉の美しさを感じることが出来ます。
何度も何度も、その写真を繰り返し見る事の出来るすばらしい本です。
この本のもうひとつの特徴として英文が併記されていることがあげられます。
そのため海外の方に日本の美意識を伝える良書かと思います。この作品は海外でも発売されており洋書版も御座います。
【感想】
この中には、日本人が愛し育てた美しい芸術品が御座います。
わたくしは生き物を飼うことに強い抵抗を感じてしまいます。自然にあるものは自然の中でと考えています。
ただ、そのわたくしが認めることの出来る数少ないものが、この金魚という存在です。
金魚は人工の生き物で御座います。自然界では無駄とされ、奇形とされたものだけが遺伝子をつないだ結果生まれた生き物だからです。あの鮮やかな更紗色も、優美な桜尾も、すべてが自然に抗った結果の美しさです。人の手により創られ、磨かれ、淘汰される・・・だから、金魚は数少ない人の傍にいることの出来る魚と考えます。
背徳的な美意識の有無。その背景を理解した上で、考えてほしく思います。
※この本に関して唯一惜しむらくは、日本花房についての記述です。絶滅では無く稀少または一時期途絶えるとするべきではなかったかと思います。
伊万里焼きに描かれた金魚なんてもーーーー素敵すぎ!!!
おもちゃから着物から、印籠まで金魚尽くし!!舞子さんの唇とかもあったりしてとにかくオシャレ★
白抜きした背景に、大胆な構図で金魚の写真があったりして超素敵!
なんでただ金魚が揺らめいてるだけで、あんなにオシャレできれいなんだろう。。
最初、この値段は少し高いと思ったけど、このボリュームを考えれば安いくらいだとも、思いました。
この本を見たら、きっとみんな金魚の虜になってしまうハズ(☆。☆)