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東京日記 他六篇 (岩波文庫)

価格: ¥630
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
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お勧めは「南山寿」:得体の知れない不安と艶っぽさ ★★★★★
 百鬼園の短編には、「起承転結」「序破急」といったよくある構成を取らず、じわじわと違和感や不安が募っていき、突然爆発するようなリズムがある。随筆の飄々としたユーモアとは対象的な、ワン・アンド・オンリーな不気味さが本書でも詰まっているが、一方でこの小説で描かれている一人称の「私」が随筆の主語の「私」と違う人格として描かれているかというと、全くそうではなくてあくまで百鬼園のものの見方・感じ方のように読者には受け止められる。ここがこの人の深いところだ。

 本書所収の作品の中では、映画「ツィゴイネル・ワイゼン」の原作となった「サラサーテの盤」が一番有名だと思うし確かに傑作なのだが、他にも「長春香」の優しさ(=この作品は小説というよりも随想か?)、「南山寿」の不安に混じる色気の絶妙さが個人的にはお気に入りだ。
実と虚の間 ★★★★★
「死んだ友人の後妻が友人の置いていった品を取りにくる…」
サラサーテの盤はあらすじだけ書いたら確かになんでもない話。しかし、そこにゾッとするナニかを感じることができるのは百間の筆の実力なのか…それとも…
幻想譚 ★★★☆☆
何かちょっと不思議な幽霊っぽいものが出てくる話が多い。
純文学の香り高く、名作なのだろうが私にはあまり面白くなかった。
夢か現実(幻術?)か。 ★★★★★
何気ない日常から、スッと異次元にスリップさせられる。
そんな作品の数々。
水先案内人は、盲目であったり、巨大うなぎであったり、猫や昔の教え子だったりしますが、
読者は夢と現実の間へうまく連れてゆかれてしまう。
静かにして、凛とした緊張感のある文体が、そうさせるのかもしれません。
このレベルの本には、なかなか出合えませんよ。
怪談の世界 ★★★★★
内田百けんの本を読んだのが、ちょうど怪奇幻想小説に飢えている時期だったからでしょうか。本書に対するイメージは『怪談』でした。それも著者が生きている時代を舞台にした。
自分と同じ世界・同じ時に『化け物』や『得体の知れないもの』がいたら怖いです。だから怪談は一昔前の話や、人からの噂といった形をとるのが普通です。でも本書はまるで自分の目の前で今、何か変な出来事が起きているような気がして頭の中がぐるぐるになってしまいます。
自分の生きている『現代』で怪談を成立させたという点で私は著者をすごい人だと感じるのです。なお独特の雰囲気を持った作家なので、初期の代表作の『冥途・旅順入城式』などの小説は本書に慣れてからの方が良いと思います。