言わずと知れた、有名人
★★★★☆
誰もが知っている羽生名人。この時期、羽生名人関係の書籍を読み、ipod等にも出演されており、羽生名人の脳の謎的な話も多くあったが、本編は淡々と日常をとらえて、普通に将棋会館に通い、地方の対局会場に臨む姿が描かれている。前段のインプットが多かったため、その場面場面で何を考えているのだろうかと思いながら、ご本人は特に変わったことはしていないと淡々としている。
この人は誰だろうと思いながら、すごさに驚くが、羽生名人は名前を聞いただけですごいと知っているので、このDVDを見ることにより、期待値以上のものを求めざるを得ない。ほどほどにイメージがあったため、割と淡々と見ることができた。
決断力の本質がわかる
★★★★★
決断力の本質がわかる。
勝負の場での決断は、頭がいいからできるわけではない。
日々、努力を積み重ねている事に関する、自分自身への信頼によってのみ、
賞金の懸かった勝負どころで大胆な決断ができる。
これ以上は言葉で説明できないので、見てみたほうがいい。
また、羽生さんが電車と徒歩で通勤しているなど、
プロフェッショナルの日常風景がわかるところも面白い。
興味深い人物3
★★★★★
継続することへのヒントがここにある。
勝敗がはっきり決まる棋士という職業、その受け止め方、トップ棋士である羽生氏の負けるということの意味、負けたけたあとの処方箋は参考になるところが多かった。
タイトル戦のなかでも勝敗を度外視して新しいことに挑む姿勢、当然負けることもある。新しい活路が見えた負けと解説されていた。局後の表情も余裕を感じさせる。一方、勝負に徹したが結果に結びつかない苦しい負けもある。休日に本屋で活字を追い、その後、散歩し草野球を見る。あれは、気分転換以上に、あの行為のなかで将棋を振り返り、自分と向き合い、のたうちまわるようにも見える(私にはそうのように見えたが)貴重な映像なのかもしれない。そして、玲瓏という言葉。対局開始時も対局中の難局の場面においても、その精神のあり方はこれからも磨かれていくのであろう推測される。目が離せない人物である。
日常の中に試練と取り組み、対局という仕事のなかで成長していく羽生氏を興味深く鑑賞することができた。そこから、私たちは学ぶべきなにかを得ることができる。また、特典映像もあり十分堪能できる。何げない会話が展開されていくなかで、将棋は他力ということ、トップ棋士の駆け引き、武道との類似点など情報密度の高さを感じることができる内容になっている。時間をおいて見れば、さらに新しいなにかが埋め込まれていることを発見できるのかもしれない。行き詰まった人には得られるものが多いのではないだろうか。
努力の天才
★★★★★
「当たり前なことを当たり前にする難しさ」
「1日1時間同じことを20年間続けられる人はいない」
上記の言葉を羽生氏の口から聴いたとき、この人も本質的には“努力の人”であると感じた。
羽生氏といえば25歳にして史上初の7冠という隔絶した才能の持ち主であることは間違い
ないのだが、それにも増してたゆまぬ努力を続けているのだろう。
そういう意味では、野球のイチローも同種であると思う。
一方であえて先を読まず、「直感」で果敢に攻める勇気も持っている。
ただ、これもいわゆるヤマ勘的なものではなく、それまでに考えてきた何万という思考の
積み重ねの結果であるらしい。
定石を積み重ねたからこそなせる業だ。
この作品を見て、本来才能とは誰もが持っているのかもしれない。
ただ、不断の努力で自らを磨き続けるということができる人間こそがトップに立てるので
ある。
才能に溺れない、強い精神力をもった努力の天才こそが、本当のプロフェッショナルになれる
のだと感じる。