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学問

価格: ¥2,100
カテゴリ: 単行本
ブランド: 講談社
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スペシャリストとジェネラリスト ★★★☆☆
 私は西部邁氏が好きなので、この著書を買ったわけだが、私の近くにある書店では西部邁氏の著書にお目にかかることはまず無い。...西部邁氏に不満は無いが、書店には不満がある。

 本書のあとがきの要約すると、学問や教養というのは、いってみれば「象の全体像」を把握するものであり、ある対象の諸側面がどのように繋がっているかについての輪郭を浮かび上がらせる事である。それを引き受けるものをジェネラリストと呼べば、本書はジェネラリストを甦りのための微力を尽くそうとする企てにならない。....つまりはこれが本書の狙いだという事だろう。

 では何故に学問や教養が大事なのかは...実は私はよく分かっている自信は無いのだが...ともかく、「象の全体像」という言葉に着目するのならば、その象の側面だけを強調したり蝶々するだけでは、全体像を把握する事はできない。そして人間のあらゆる活動においては、政治、国際関係、道徳、社交、人生、歴史、哲学、実利...などなど、あらゆるものがそこに関わってくる。
 
 そこでとある現実が差し迫った時、またそうした事態が予測されうる時に、一側面の知識だけでは不十分である。そこで否応無く、全体的な知識が要請される。それを端的に言い換えると、スペシャリストのみならずジェネラリストとなろうと努めようとするのが、言わば人間の宿命だという事である...と思う。

 また<ニヒリズムは「ない」ということであって、何がないのかといえば、真の基準も善の基準も美の基準もないということだ(P261)>だという事であり、それらの基準が歴史や人生経験や自分と他者の違い...などといったものから運ばれると考え、ニヒリズム(虚無主義)が虚無を招くものであるのだとすれば、全体像ではなく一側面に過剰にこだわるのは、精神衛生上によろしくないという話にもなってくるのではないかと思う。

 ともかく、本書がジェネラリストの甦りのための企てだという事ならば、そのジェネラリストの不在的状況を憂え、警告的に唱えているのが、この西部邁氏だということではあるのだろう。
これが一番 ★★★★☆
西部の本でこれが一番くどくなく読みやすいです。他の本の人生本は説教くさくて押し付けがましいですが、この本は言葉ごとに分けているので分かりやすかったです。値段が高いのはどうかなと思いますが。
エッセイ集としての「学問」 ★★★★★
この本のあとがきでも述べている通り、筆者の西部さんは、専門バカの学者を徹底批判し、「知の全体像」を捉える必要性を訴えている。西部さんの本には小見出しが付くエッセイ的なものが多いが、この本はその中でもかなり読みやすいし、とっつきやすい。何より学ぶことの楽しさを教えてくれる本である。特に福田恆存、三島由紀夫の紹介部分や、福沢諭吉の解釈、さらに教育について述べている部分は圧巻である。戦後日本を代表する知識人(専門人ではなしに)の著作として、まず手始めにとっつくために読んでほしい一冊である。とくに大学1,2年生は読むべし。勉強する気力を与えてくれること間違いなし。