国家思想を考える手引き
★★★★★
・西洋近代思想の紹介
ラスキ・ニーバー・ロック(自由主義の生誕)・ラスウェル(政治行動の心理学的分析の先駆け)
・国家思想
『近代日本思想史における国家理性の問題』では、西洋と明治国家の国家理性の発生状況とその発展とが比較される。
『明治国家の思想』は明治国家の思想とその変化を考察する。政治権力の集中を目指す国権論と個人の自由権を説く民権論とが同時に展開した。国体論で自由民権運動を抑圧し国権拡張論が拡大したが国権論の異常な展開に対する警戒心が政府の指導者にあったと指摘する。
『軍国支配者の精神形態』は日本支配層の精神と行動様式の特徴・日本の戦争気候に内在したエトスを明らかにする。日本の支配層はエリートだったが、戦争責任の意識を持たず道徳的に自己の行為を粉飾し、自己欺瞞に陥っている。既成事実への屈服と権限への逃避という傾向が指摘される。
『肉体文学から肉体政治まで』は日本文学と政治の基底にある精神のあり方の問題点を考察する。非日常的な生活を題材にする肉体文学と小市民的な日常生活に固着した伝統的私小説を比較し、精神の統合力の不在は同じだとする。そのため日本では制度や組織が自己目的化するのだ。
『権力と道徳』では、西洋古代社会では権力と道徳が同一視されたが時代につれてが分化し葛藤して合一しなかった次第を辿る。
『ある自由主義者への手紙』は当時の自由主義者の現実政治へのかかわり方について。
・先輩学者として助言
『勉学についての二、三の助言』は外国語への慣れ・実証的な学問や歴史学の重要性を説く。
『政治学入門』は権力としての政治・倫理としての政治・技術としての政治の三側面に触れる。その上で国家の現実に政治学が影響を受けること、また人文諸科学の成果を取り入れながらも政治的なものへの嗅覚を養うことが説かれる。
『歴史と伝記』は歴史の導入としての伝記、理論で事実の取捨選択をすることが肯定する。