プログレの傑作? /
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30年前からプログレの傑作として名高い本作品を聞いているが、聞くたびに本作品の評価については考えさせられる。フィルがTree Side Liveのインタビューで言っていたが「音楽をカテゴリー区分するのはおかしい。」という意見に私も賛成である。
プログレというカテゴリーの存在すら知らない何人かの知人に本作品を聞かせ感想を聞いた事がある。殆どの知人は「聞きやすい音楽だ。」「美しい音楽だ。」と答えたが、難解だと答えた人間は記憶にない。
ある女性は本作品でGENESISを気に入り、本作品を聞き込んでいたら3歳の子供も聞き入っていたそうである。普段集中力の無い子供の反応にその女性は「ビックリした。」と話していたが、本作品の魅力は、各メンバーが尋常ではないテクニックを披露しているにも関わらず、聞く手に対して緊張感や不快感を感じさせない明瞭で繊細な音にあるのかもしれない。
1973年に発表された本作品はアルバム・ジャケット中央のベンチに寝そべる主人公が夢の中で見ている男の夢を題材にしたコンセプト・アルバムである。アルバム全体が環境音楽と聞き違えるようなソフトな雰囲気で構成され、聞き手を主人公の夢の中に誘うが、その雰囲気を引き裂く様なピーターの歌声や、メンバーのハードな演奏がアルバムにメリハリを与えており聴きごたえのある作品として仕上がっている。
ピーターの歌声で幕を開けピーターの歌声で幕を閉じる主人公の夢の中の男の夢は永遠に醒める事が無い。それと同様に本作品も永遠に色褪せない音楽の傑作である。
ジャケットも最高傑作
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ジェネシスのアルバムはLIVEならseconds out、スタジオならイギリス抒情詩的楽曲が満載の本作が最高傑作です。LIVEでは今だに演奏される名曲2,3,7をガブリエルの神経質な歌声で聴くことができます。当時、ガブリエルのワンマンバンドになりかけていて他のメンバーが欲求不満を解消すべくつくられたようですが、そんなことは想像もできないほど全部名曲です。その結果、次に名作(私はそうは思わないが)といわれるthe lamb lies down on broadwayでガブリエルは自己顕示欲を表現したあと脱退。まさにpink floydのthe wallにおけるロジャーウォータースのそれです。definitive edition remaster盤、解説、対訳付きでこの値段、いまさらながら、お買い得です。
これを聴かないなんてもったいない
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プログレのなかでどの一枚を聴くべきかと尋ねられて迷わない人はいないだろう。音楽の好みは人それぞれだし、名盤が多いし。でも、ピーター・ガブリエルがいたころの初期ジェネシスのなかでどれか一枚を挙げなければならないとしたらどうだろう。たしかに前作「フォックストロット」(1972年)も素晴らしいし、前前作も次作も捨てがたい。けれど、音楽的複雑さとイギリス的雰囲気と聴き易さのバランスという点で、またアルバム全体としての完成度という点で考えると、本作を上回るものはないのではないかと思う。
今、初期ジェネシスを聴くリスナーというのは、もし誰かに薦められたというのでなければ、PGから溯ってたどり着いた人たちだと思う。だが、初期ジェネシスは必ずしも後のPGと比較されえるものではない。むしろ、初期ジェネシスは、彼のソロ活動とは比べ物にならないくらい素晴らしい。なかでも本作の濃密度・完成度の高さは飛びぬけており、しかも(前作と大きく異なり)PGがあまり前面に出てこないように見える点でも興味深い仕上がりになっている。
クリエーターの立場から見れば、こんな作品を作ったらあとは一生、自分自身を乗り越えられなくて苦しむだろうな、と思わせる出来ばえである。またリスナーの観点から見れば、こんな作品を聴かずにいるのは一生の不覚だと思わせる作品である。こんな素晴らしい音楽を聴かずにいるなんて、ほんとうにもったいないですよ。
僕の休日
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さて、今日は一日ゆっくりできるからジェネシスの【月影の騎士】でも聴こう。
この1973年リリースの第5作目は、ジェネシスの代表作、プログレの名盤としても名高いが
僕にとっては単純にこれ以上ない「音楽」だ。壮大なアンサンブルがあれば対比するように
繊細なアコースティックナンバーがある。この振幅が人を感動させる。。
まずSide oneの1曲目「Dancing With the Moonlit Knight」。より磨きぬかれたメンバーそれ
ぞれの技巧が顕著に反映されてる1曲だ。深く濃い陰影が全体的にあり、たまらなく美しいナ
ンバーだ。何より聞くものに与える陶酔感は凄まじい。
[2]の「I Know What I Like (In Your Wardrobe)」は実にイギリス臭い、泥臭いポップソング
に仕上がってる。マイク・ラザフォードが演奏するインドの民族楽器シタールがさらに色を
加えてて好い。
そして最も泣ける「Firth of Fifth」に続く、、瑞々しいピアノイントロで幕を開け、体を
弛緩させ心を解放してくれるガブリエルのコーラスがすばらしい。。後半は何処までも無碍に
広がるハケットのギターソロが感動的。
Side oneラストは繊細なacoustic guitarが胸に染みる「More Fool Me」で静かに幕を閉じま
す。ここで、一旦停止をして少し感慨に耽ってみる。色々な情景が浮かんでは消えていく、、
続いてSide twoは、まさにピーター・ガブリエルの世界観「The Battle of Epping Forest」
で幕開け。気持ちを鼓舞するメロディーに、一糸乱れずサウンドの間を縫う様にフレーズを
くりだすガブリエルの歌唱力にただただ圧巻。
続いて[2」の「After the Ordeal」はインスト曲。この曲も単純に沁みます。。
次の「The Cinema Show」は隠れ名曲でしょう。前半はacoustic guitarのバッキングが美麗
だ。後半のインスト部は物語を創造する。聞けば聞くほど得るものが大きい1曲。
ラストの短い1曲「Aisle of Plenty」はSide oneの始めの「流れ」へと還り着く。。
眼をつむって感慨に浸る、雑多でせわしない日常の雑念がどんどん減退していくのがわかる。
よし、明日からも頑張ろう。
黙って聴きなさい。素晴らしいから。
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このアルバムをはじめて聴いたとき、僕はまだ16才位・・・。最初は、「?」でしたが、聞き込むうちに、この作品の非現実さ、スリリングな展開に、心奪われました。
ジェネシスは、僕の青春だった・・・、そして今、これを読んでる貴方にも、僕が味わった感動を体験できる事を祈ってます。