ノーマン・ロックウェルは才能に恵まれていただけでなく、それとほぼ同じくらい多作の画家であった。多数の絵画作品に加えて、500点を超える雑誌の表紙や数千に及ぶ商業的なイラストレーションを制作している。本書では、ロックウェルの息子の一人が、父親の作品の膨大なコレクションを入念に再検討し、各十年代ごとに自分の気に入った作品を選んでいる。作品の多くはロックウェル家のプライベート・コレクションに由来し、今回初めて公表されたものである。とはいえ、「三重自画像（Triple Self Portrait）」「舞踏会の後（After the Prom）」「鏡の前の少女（Girl at the Mirror）」といった衰えることなく人気のある作品も含まれている。図版の多くはオリジナルから直接再現されているので、筆触やキャンバスのきめなど細部をよく見ることができる。『The Best of Norman Rockwell』は1年のどの時期でも読者を楽しませるだろうが、感謝祭とクリスマスの絵がきわめて少ないので、このすばらしい本も祝日の間は放っておかれることになる。（Amazon.com）