日本語字幕の入った輸入盤。歌唱・台詞はもちろんドイツ語。この演目を得意とするウェルザー＝メストが手兵でありドイツ語圏スイスを代表するオペラハウスであるチューリヒ・オペラで指揮した2004年上演のライブである。まずもって現在「メリー・ウィドウ」をビデオで楽しむのに最もオーソドックスなチョイスといえるだろう。ウェルザー＝メストの解釈・統率は実に手堅い。ヒロイン二人が対照的な美貌なのも良い。
演出は豪華なセットと洒落た照明を駆使して何ら奇をてらうところが無い。第３幕のカン・カンも他人の曲である「天国と地獄」ではなくちゃんとレハール・メドレーで押し、「際限のない乱痴騒ぎ」を見事に盛り上げる。これはカーテンコールにまで及び、仰天の趣向で楽しいエンディングとなる。見てのお楽しみ。