普通この手のは・・・
★★☆☆☆
ある事故で死んだ主人公が毎年自分の命日に他人の体に一日だけ憑依し,現世に舞い戻ってくる.
こう書くと当然のように犯人探しでもやるのかな,という思惑はものの見事に外される事となる.
1年ごとの世の中の変遷に対する主人公の心象描写,乗り移った人とそれを取り巻く人々との交流等に主題がおかれている.
ラストで主人公の殺人事件に対する決着はつくが,正直どうでもいい内容となっている.
初めて読むタイプの物語だった.
設定は面白い
★★★☆☆
新津きよみ、初めて読みました。
母と妹と暮らしていた長女・葉子はある日残忍な通り魔によって命を奪われる。一家を支え、結婚を約束した男性もいた葉子にとって、それはあまりに理不尽な「死」であった。
1年後の命日に彼女はある妊婦の体に憑依して、この世に戻ってくる。自分亡き後、家族や恋人はどうしているのか、この目で確かめたい、そして彼女が見た現実。体を借りた妊婦の人生をも背負う葉子。以来命日のたびに、違う人間の体を借りてこの世に戻ってくるように。
設定はすごく面白く、女性の心理も細やかに描かれています。次はどんな人間に憑くのか、1年後、家族はどうなっているのか、その興味もあってどんどんページが進みます。
しかしミステリーとしてもうひとひねり欲しかった。「もしや犯人は家族の誰か…?」なんて少し期待しただけに、ラストがあっさりで星3つです。
ミステリではない!人の心の再生の物語♪
★★★☆☆
毎年命日の日に一日だけ、葉子は他人の体を借りて甦る。自分亡き後、残された
家族のことが気にかかるのだが・・・。
葉子は、自分の死の1年後の家族の様子を見て愕然とする思いを味わうことに
なるが、そのことは仕方のないことだと次第に納得するようになる。かけがえの
ない人を失う悲しみは深い。けれど、いつまでも悲しんでばかりいられない。
葉子にとってはつらいことかもしれないが、それが現実だと思う。だが、変化
するのは残された人たちばかりではなかった。葉子自身もだんだんと変化していく。
自分や自分の家族より、体を借りている人たちのことを重視するようになる。
たった一日体を借りるだけなのだが、その一日が、体を借りた人たちにとって
大切でかけがえのない時間だと気づいていく。そして、それに気づいた葉子は・・・。
せつなさも感じるが、読後はさわやかさも感じる作品だった。
犯人捜しは?
★★★☆☆
同じ日を何度も繰り返す「トゥルーコーリング」というTVドラマが有ったがこの本では毎年同じ日(命日)を現世の人の身体を借りて1日過ごすという内容。どんな世相のどんな人間に乗り移るのか、そして年齢的なギャップなど興味を引く設定だ。主人公を取り巻く家族の移り変わりはえがかれているが、肝心の「犯人捜し」には全く触れられていないのは残念。せっかく他人の身体を借りて行動出来るのだから最後に犯人を追いつめて「そーだったのか!」というオチになれば満足度もかなり高かったと悔やまれる。