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ルートヴィヒ 復元完全版 デジタル・ニューマスター [DVD]

価格: ¥6,300
カテゴリ: DVD
ブランド: 紀伊國屋書店
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禁断の美にはまります。 ★★★★★
若き日のヘルムート・バーガーの禁断の美にはまって、20年あまり。
ヴィスコンティがアラン・ドロンの後、愛した気持ちがわかります。
戴冠式の衣装、美術の見事さ、絵画の世界です。調度品や小道具も本物が使われています。シャンパンを冷やす銀食器の豪華さ、皇太后役の女優の首元を飾ったネックレスは、公爵でもある監督の母が所有していたもの。フェイクでないところが凄いです。
ワーグナーは、危険な音楽家です。人物というだけでなく、旋律が悪魔的で、魅入られてしまう人は、はまるらしいのです。それが、ルートヴィッヒでした。君主というものは、圧倒的な独裁者(ヘンリー8世など)となり、恐れられる存在になるか、自分の意志とは関係なしに君主になっても、凡庸であれば、その地位をもてあまし、まわりをとりまく臣下次第で生かされるか殺されるかのどちらかなんでしょう。
すべてのシーンが、絵画のように美しく、高尚です。
何度も見直しましたが、イタリア語を学び始めたきっかけとなったので、私は、英語吹き替えよりも、イタリア語版が好きです。
ルートヴィヒ 神々の黄昏 ★★★★☆
 ルキノ・ヴィスコンティのいわずと知れた名作、『ルートヴィヒ 神々の黄昏』。
 とにかく映像が美しく、演技、そして語りが美しい!他には何もいえないほどだ。
 映画ファンなら誰でも1回は見るべき作品であることは確かである!
ルートヴィヒ二世の一代記・・・史劇としては最高の映画でしょう、多分。 ★★★★★
全四時間という長編大作映画ですがまったく退屈しません。
むしろ画面に引き込まれて時の過ぎるのが忘れるくらいの面白さでした。
バヴァリア(バイエルン)国王ルートヴィヒ二世の一代記です。
この手の映画は時代背景や豪奢な生活の描写に気を取られて
本編のストーリーがなおざりにされてしまうものですが
現地ロケや本物のお城を使ったロケーション、豪華なセットも
あるのが当たり前なストーリーの背景。
あくまでも主人公は悲劇の国王ルートヴィヒにあり、彼のドラマの重さに華美も霞むほど。
狂った暴君を弾劾する自称“忠臣”達の証言をバックに
悩めるルートヴィヒの生涯が次々と表れ最後は幽閉され悲劇的なクライマックスへと突き進む。
ルートヴィヒ自身、自分が王位の牢獄にいて背後に蠢く陰謀を知りつつも
いやどうしようもない運命を甘んじて受け入れて破滅していく哀しさ。
この悲劇の主人公を「地獄に墜ちた勇者ども」のマルティンこと
ヘルムート・バーガー氏が渾身の演技で演じ切ります。
もう肖像画から抜け出たような美男の国王が晩年醜い中年となり死んでいくわけですが
最後まで凛とした高貴さを持ち続け周囲の醜い政治家をあざ笑うかのような最期を遂げます。
配役も面白く「地獄に〜」の悪の親衛隊長役のヘルムート・グリーム氏が優しい忠実な近衛兵を、
ナチの陰謀の告発者役のウンベルト・オルシーニ氏が王を貶める政治家役を好演しています。

「地獄に墜ちた勇者ども」が醜い強者もありながら
ささやかな真実と幸せを持ち合わせた弱者のいる現実世界が
ナチという狂った理想と幻想に破壊されるお話ならば
この「ルートヴィヒ」は狂いながらも高潔な幻想と理想の国王を
汚い現実と意地汚い俗物が破壊していくお話でしょうか。

お話の序盤から中盤にかけてのルートヴィヒとエリザベートとのやり取りは素敵です。
王にとって初恋であり可憐なほどの片思い。
この恋愛ドラマだけでも1本の映画になるのに
それ以上の陰謀ドラマも入れて破綻しない凄まじい構成。

惜しむらくに音声がイタリア語の吹き替え(役者さんは別)になっています。
願わくばオリジナルの英語音源で聴きたいのですが。
そのマイナス点を差っ引いても素晴らしい映画です。
アウトサイダーの悲しみ ★★★★★
20世紀初頭に貴族として生まれたヴィスコンティにとって、この世はなかなか生きにくい世界だったのではないかと思われます。 簡単に言えば生まれてくる時代を間違えたー、あるいは自分はこの世にうまくフィットしないーということではないでしょうか。 無論そんな思いを抱きながら生きている現代人だって多いはず。 ルードヴィヒは恐らくそういった人間たちの王様的人物でしょう。 普通人とは比べものにならない富と権力の持ち主、芸術かぶれのルードヴィヒは、自分だけの芸術的幻想の世界に生きようとします。 しかし、彼は決して芸術家ではないー、あくまで芸術愛好家、ディレッタントに過ぎません。 やがて、そんな境遇にも安住できない自分に気付くのです。 彼をいいように食い物にするワーグナーが出てきますが、そのふてぶてしさと逞しさはホントに見もの。 

ヴィスコンティ自身は本物の芸術家でディレッタントではないのですが、この人物を描くことに異様な執念を燃やしていたことを考えてみても、やはり気持ちの上で通じるものがあったはず。 やがて死を選ぶルードヴィヒが、自分は誰からも理解されなくていいーというくだりは悲しいです。 この作品は本当に残酷で冷徹です。 そしてヴィスコンティの悲しみが伝わってくるようです。 是非見てください。
権力の犠牲者 ★★★★★
『ルードヴィヒ 神々の黄昏』が劇場用にビスコンティ自らが編集した3時間バージョン。この『ルードヴィヒ 復元完全版』は、ビスコンティの死後、関係者が作者の意図を汲んで編集し直したもので、DVD2枚組の間にインターミッションが入る、4時間に渡る長編モノだ。『神々の黄昏』ではカットされた、ルードヴィヒを取り巻く官僚、医師、兵士、給仕などの証言などが盛り込まれ、より史実を意識した内容となっている。

文学における想像上の人物を取り上げることが多かったビスコンティ作品の中で、歴史上実在の人物の一生を史実に忠実に描いている。19歳〜40歳までのルードヴィヒ2世を一人で演じ通したヘルムート・バーガーの一世一代の演技は、『地獄に堕ちた勇者ども』や『家族の肖像』と比較しても、断然輝いている。一方、ルードヴィヒがひそかな恋心を抱いていたというエリザベートを演じたロミー・シュナイダーは、押しの強い傲慢さが目立ちすぎて、自分の中のか弱いイメージとはかなりかけ離れていた。

ルードヴィヒが建設に情熱を燃やしたノイシュバンシュタイン城やヘレンキムゼー城をエリザベートが実際に訪れるシーンがある。その実在の建造物の壮麗さと競うようにビスコンティが作り上げた城内セットの豪華さには、もう<笑う>しかない。これまでにも登場した数々の室内装飾の中でも、本作品において頂点を極めているといっても過言ではない。ある意味無駄なセットや城郭建設にこれだけのお金をかけるビスコンティとルードヴィヒ2世は、究極のデカダンスを地でいっていたのだ。

一種のクーデターにより、官僚たちから精神異常のレッテルを張られ、ベルグ城に幽閉されるルードヴィヒ。ビスコンティは彼を<狂王>ではなく<権力の犠牲者>として描いた。国王としては失格だったのかもしれないが、ワーグナーを庇護し名作『トリスタンとイゾルデ』を完成に導き、世界一美しい城を築いた<メルヘン王>の文化・芸術面における功績は大きい。映画は、湖畔から水死体で引き上げられたルードヴィヒの顔が捜索隊の松明によってオレンジ色に浮かび上がるシーンで終わる。それはまるで最期の舞台に立つ役者に当てられたスポットライトのようだった。