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千曲川のスケッチ (新潮文庫)

価格: ¥380
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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光景が浮かんでくる。 ★★★★★
今は見ることのできない明治の信州小諸を知ることができる。季節ごとの自然、人々の暮らし、人々との関わり。読んでいると目の前に光景が浮かんでくるようだ。名作。
この本がおもしろい人はどこを旅してもおもしろいだろう ★★★★★
 この本をおもしろいと思って読む人は、どこを旅してもおもしろいと思うのではないだろうか。

 際だったことが書いてあるわけではない。小諸では、強いて言えば「懐古園」が有名だけれど、その半分は藤村に負っている。だから、この本に懐古園のことは地味にしか書かれていない。この本のようなスケッチが描ける地方はたくさんある。でも、実際、この本にもおもしろいことはたくさんあるんだよね。

 今回、読んでみて、この地方の百年前の姿、四季の風物や年中行事、人々の姿を目の当たりにする思いがした。実は、その半分は、「週刊にっぽん川紀行」の創刊号「千曲川」(学研発行)と併せて読んだことに負っている。で、おもしろかった。ほぼ、百年に近い月日を隔てて、異同が見えるからで。

 私は千曲川流域の旅を何度か試みてきたが、その度に、この本の記述のいくつかを思い出す。この地域の日常をリアルに描いているところは、紀行文としても優れているものだと思う。もちろん、このリアリズムは、読む人にいろいろな想いをもたらすはずで、それ故に、この本を読んで千曲川紀行をすると旅が奥深くなるにちがいない。とりわけ、観光地巡りやグルメ旅に飽き足らなく思う人に、これらの本を携えて千曲川の旅をしてみたら、とお勧めしたい。