イー・チャンホのこのシリーズはどれも名著ばかりだが、その中でも本書は特に良い。その理由として一番に挙げられるのは、まずこのような類書は他にみられないからである。本書のように囲碁の定石の最前線を深く突っ込んで解説してくれる本は私は他にみたことがない。（はじめての試みらしい）これを読んだら囲碁も将棋と同じように定石を研究しなければ勝てない時代になったのかと思うほどである。正に将棋でいう『羽生の頭脳』並の名著だと私は思う。

定石を一通りなぞったことのあるヒトに、じつは他の考え方もあると気付かせてくれる本。たとえば、星打に桂馬に掛りからニ線に桂馬する定石。私は以前から、序盤早々に２線に石が行くのが全く納得できなかった。しかし、どうやってとがめることができるのか、考えてもわからなかった。この本は、この疑問に明解に答えてくれた。

イーチャンホの著作を読むと、なぜ今日本が韓国中国に勝てなくなったのかわかる気がする。この本もその一冊で、入段くらいから楽しめる。解説のレベルはそれほど難しく無いと思う。

全局の配置の中で、常識を覆すような定石が展開される。内容は高度だが、何度よんでも新たな発見がある。筆者の定石に対する考え方に触れて、定石に対する考え方が変わる。入段前のヒトにとっても勉強になると思う。ふつうの定石書に物足りなさを感じるヒト向け。

驚くべき本である。イーチャンホの天才ぶりをまざまざと感じる。解説は直感的で判りやすい。いわゆるお定石本ではなく、盤面全体との配置で、定石を解説する。ふつうの定石との比較も理解しやすい。

李昌鎬の解説による定石書です。新しい定石が多く掲載されています。
最近の定石は大型化、難解化が進んでいるのでしょうか。
部分的な最善のワカレというレベルではなく、全局的に支配力を及ぼすような定石がたくさんあります。
全てマスターすればすばらしい武器になるでしょう。ただ、級位者の手にはあまるかもしれませんが・・。