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ニッポン無責任時代 [DVD]

価格: ¥4,725
カテゴリ: DVD
ブランド: 東宝
Amazon.co.jpで確認
植木等の凄味 ★★★★★
完成当時、試写を観て、
あまりの破天荒ぶりに東宝の重役陣がそろって難色を示したが
メインの上映作品ではなく、2本立ての併映だったこともあり
部分的に編集カットすることで渋々公開をOK

ところがメインを追い越して
劇場の扉から観客があふれ出てしまうという
記録破りの大ヒット(笑)

その後、社会通念と東宝重役の意向で
だんだん正義のスーパーサラリーマンへと変貌する前の
「凄味のある無責任男」を存分に堪能できる作品です。

この映画の脚本家である田波靖男さんもおっしゃっていますが
ベースになっているのはダシール・ハメットの
ハードボイルド小説「血の収穫」

黒澤明監督の「用心棒」や
クリント・イーストウッドの「荒野の用心棒」と同じ
あれです。

(脚本を読んですぐにハード・ボイルドであることを
 見抜いたのが、青島幸男さんだったそうです)

集団に属することなく、己の利益のために
口八丁、手八丁で、世の中の悪と偽善を手玉にとりながら
渡り歩いてゆく一匹狼・・・。

実はこの作品、
スーパーサラリーマンではない「悪漢」が主人公の
「ピカレスクロマン」だったのですね(笑)。

飛んできたボールを笑いながら逆方向に投げ飛ばす、
無賃乗車のまま改札を通り、高笑いで煙に巻く(オープニング)等々
随所にピカレスクぶりが見られます。

そういうところを何度も見直して見つけるのも
この作品のひそかな楽しみです。

「善の企業戦士」になる前の荒削りな輝きというか、
単なる正義だけではない、
ダーティー・ハリーに通じるというか、
観ていて本当に痛快・爽快のひとことです。

無責任シリーズの全てのエッセンスが満タンに盛り込まれています。
それプラス、後の作品で正義の主人公の表現には邪魔になるからと
すこしずつ削られていった、キャラの魅力と
エッセンスも全てそろった作品です。

個人的には「ホラ吹き」「ゴマすり」などの
調子よく出世してゆく作品も大好きですが、
そういうシーケンスも存分に楽しめます。

社会現象になった無責任シリーズの記念碑。

善良なサラリーマン物全盛の当時の東宝において
この作品を作り上げた映画人たちもスゴイですし、

なによりそれを、あの強烈な高笑いと、からだ一つで体現し、
平 均(たいら ひとし)という前例のないダーティヒーローを
喜劇という土俵で演じきった、植木等という希代の俳優。

凄味のあるC調男、
何度観ても鳥肌ものです。


植木等さんがなくなりましたが、この映画が僕は最高傑作と、推薦します! ★★★★★
植木等さんがあの世の旅に立たれましたね。寂しいですね、生であの歌声が聴けないのは…。

日本が高度経済成長時代に突入して「モーレツサラリーマン」なんて言葉が流行りだしたときに…「とかくこの世は無責任。コツコツやるのは…ご苦労さん!」というような痛烈な皮肉・反骨精神を大笑いに変えた、日本の喜劇の代表者、と思っておりました。「わかっちゃいるけど、やめられない。」「…お呼びでないね…こりゃまた、失礼致しました!…ジャンジャン。」等々、まあ数え切れない程のギャグを発されたお人でした。

しかし植木さんが言われた言葉で有名な「やりたいことと、やらなければいけない事は違う!」という植木等さん独特の哲学の中に、「スーダラ節」等々見事に「無責任男」を演じる植木等さんでしたね。

晩年は堺正章さんの舞台などで、重鎮的な役を喜劇を交えて格好良く演じられていました。背筋がとにかくすっと綺麗な人、という晩年のイメージが印象に残っております。是非、この機会にご覧下さい。合掌。
実はスーパーサラリーマンの物語だった! ★★★★☆
終身雇用・年功序列の古きよき時代のサラリーマンのお気楽ぶりを描いた娯楽映画だろう、と思いつつ見たのだが、いやあ、見た気になってみていなかったのが恐ろしいですね、見てみると印象がぜんぜん違うのです。

そう、この映画の主人公である平均(たいらひとし)さんは、首になることもいとわずに要所要所で優れた働きをするスーパーサラリーマンだったのです。定時に出社しないのは今の裁量労働制の先取りに見えるし、一つの会社に縛られずに自分を売り込んで(?)どんどん新しい会社に移っていく姿はまさに今の時代を先取りしているようです。最後に社長になるなんて、まさにアントレプレナーそのものですよね。

ということで、これからのサラリーマンがめざすべき理想型の一つがここにある、と感じました。
このDVDを見て元気になろう ★★★★★
 日本の喜劇映画の傑作のひとつです。
難しいことは考えず、とにかく楽しめます。日本が一番元気で(田舎も都会もTVも)輝いていた時代の雰囲気を味わってください。
 現在は、実績評価だとか自己責任だとかサラリーマンも気楽な稼業ではないですが、この映画を見て元気を取り戻しましょう。
 
「あたりまえのことをあたりまえにせよ」 ★★★★★
洋酒会社を舞台に、企業買収の顛末を、無職の主人公、平均(たいらひとし/植木等)が潜り込み、八面六臂の活躍をするというもの。その脚本から演出に至る全てにまったくの無駄がなく、緻密に、それでいて分かりやすく、喜劇として展開させている完成度に驚かされます。買収され旧主流派の元総務部長に、閑職に止まってでも「サラリーマンは辞表を出したらそれまでだ」と述べる下りは、高度成長期を支えた務め人の教義ともいえる言葉でしょう。その反面教師がまさしく無責任を貫く平均ですが、そのポジティブな行動力は、むしろ多くの平均的サラリーマンにはとてもやりたくても出来ない、超絶的な活躍だからこそ、共鳴するのだと思います。「あたりまえのことをあたりまえにせよ」とは、元社長が世話になった代議士の言葉を、元秘書であったと偽る平均が、勝手に述べる下りなのですが、このような言葉の重みが、随所に見られるところに、作品としての普遍性があるのでしょう。