The Cobra Event
★★★★★
久々に面白い小説を読みました。ストーリーの詳細は言えませんが、
生物兵器によるテロの話です。ウイルスに罹た人の死亡までの症状の
進展の描写がすごくリアルで、背筋が寒くなります。
症状はある稀な疾患をモデルにしているのですが、そもそもそこへストーリを
もっていくのがすごいところです。実際にニューヨークでウイルスが
撒かれてしまい、犠牲者がでます。これに対してCDCの研究者たちが
冷静に対処し、犯人を絞り込んで行きます(勿論、軍やFBIも参加します)。
過日、日本でSARS騒ぎがありましたが、もし日本で生物兵器によるテロが
起こったら、国や地方自治体の責任ある人たちは、その責務をキチンと
果たしてくれるのか、この物語をこれに被せると、この国の脆さが切実に
琡?解される一作です。しかし、小難しいことは抜きにして、とにかく面白い
作品です。
現実となったバイオテロの恐怖
★★★★★
クリントン前大統領がこの一冊を読んでバイオテロに対する体制を急遽整備したと伝えられている。それほどにインパクトの強烈な一冊である。サリン事件も経験した日本がまったくバイオテロへの備えがないのは、政府の怠慢なのかそれとも思い上がりなのか・・・1995年以前だったら(サリンの年)この小説を単なるフィクションとして興味本位で読んだことだろう。しかしフィクションが現実になったNY後の今日では、鬼気せまるこのプレストンのぎりぎりまで現実に基づいた小説は今日起こっており、また明日起こる出来事かもしれないのだ。どこを見ても安心に満ちていた幼いころが懐かしい。
NYテロを境に現実味を帯びた血も凍る一冊
★★★★★
サリン事件以降ほとぼりも冷めたかのような幸せな日本。米国はクリントン政権時代にわが国の事件をきっかけに生化学兵器対策を開始したというのに。日本政府も備えを急いで欲しい、と読後に思わずにいられない。クリントン前大統領が大規模な生物兵器対策非常訓練を指示実行したのはこの「コブライベント」を読んだことがきっかけだったといわれる。大統領に行動を起こさせるような強烈な本である。日常生活に何気なく入り込んでくるもの・・・それは蚤の市で買った小さなびっくり箱・・・からすべてはじまる。中東、アジア、米国南部、NY、がひとつの線で結ばれていく。日本に限ってつながることはないなどと誰が言えようか。
時代を予測したかなり怖い話し
★★★★★
この本は、約3年前に英語版で読みました。生物兵器テロに関することが沢山書いてあり、現在の世界を予測した内容になっています。当時も読みながらとても恐ろしく思いましたが、最近の世界情勢を考えると余計に怖くなってしまいます。筆者の取材力はものすごく、医者である私が読んでいても十分に説得力のある表現、描写になっています。ちなみに、英語も簡潔な文章で読みやすい印象でしたよ。テロ事件との関連は無視しても、お勧めの一冊です。