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ボクの町 (新潮文庫)

価格: ¥740
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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続きが読みたい! ★★★★★
 珍しいですよね。おまわりさんが主人公の小説って。警察もので出てくるのは刑事か、最近は鑑識か。

 だいたい、警察官になろうと思った動機が不純。彼女にふられて、って。目標もない。義務感、正義感もない。根無し草のようで、警察官には全く向いていないと思えるような高木聖大。しかし、どうしてか憎めない。彼の中にある、どこかスレていない部分なのかな。ナンパに明け暮れ、おもしろおかしく生きていけりゃそれでいいじゃん、なんて口では言いながら、本心では(自分は気がついていないかもしれないが)、誰かがきっかけをくれるのを待っているようなところがある。きっかけさえあれば何かに目覚めることのできる若者って、けっこう多いのではないかな、と思います。聖大もその一人だと思います。ピアスをしてださいかっこなんて死んでも嫌だ、みたいなことを言っていても、根はわりと素直で正直な普通の人間。だからこそ、交通事故の現場で心ない言葉を口にする野次馬に腹を立てたり、人の死に遭遇してその理不尽さにむなしさを感じたり。一歩間違えば単なる”お馬鹿さん”になってしまいそうなキャラクターをここまで魅力的に描けるのは、さすが乃南さんです。

 いつも乃南作品を読んでいると思うのですが、キャラクターの描き方が素晴らしい。ほんとに、どこかにいそうな感じがするんです。しかも、かっこよくない、強さと弱さを併せ持った普通の人間。音道貴子も高木聖大も、ほんとにどこかの町にいるんじゃないか、と思えるほど生き生きと描かれてるんですよね。私のボキャブラリーが少なくて、乃南作品の素晴らしさが伝えきれなくて残念。

 この作品を読んでから、交番のおまわりさんに妙に親近感を感じてしまったりして。あー、ああやって交番の前にじっと立っているのを「立番(りつばん)」というのね、とか、2人で自転車でパトロールしているおまわりさんを見て、一人が特に若いと、もしかしたら研修中なのかしら、なんて。交番勤務は派手な事件に遭遇することは少ないかもしれないが、あれこれ小さい事件を持ち込まれて、それはそれは大変なんでしょうね。小説なのに、読んだことがすべて”ほんと”にあったことのように感じてしまう、それが乃南作品です。
小説家に課せられた「使命」を全うした作品 ★★★★☆
 普通「警察小説」というと、大事件があって、犯人を探して・・・、という筋のものが大多数ではないかと思う。
 そこから見る、犯人象にいきつくまでのところとか、警察の政治的部分を見ることが警察小説の本質ではないかと思っている。
 しかし本作は、それらのモノとは少し違った作品となっている。

 警察官になった理由は振られた彼女を見返すため、警察手帳には元カノのプリクラを貼っている等、普通の警察小説の主人公では考えられないことを次々に起こす。
 だが、主人公・高木聖大や、上司、先輩、同僚などの言動からは「あるある」とうなずかされることが多い。

 小説とは、「娯楽」である。
 読者に「面白い」と思わせる作品を作ること、これが作者がまず考えなければいけないことだ。
 だが、それと並行して考えなければいけないことがあると思う。
 それは「共感」と「教え」だと思っている。

 例えば、登場人物が失敗をして、説教をされているシーンを読んで、「そうだよな」「自分も同じようなことがないよう反省しよう」と思わせること、これが小説家に課せられた使命だといってもいい。
 その点では、本作は非常に優秀な作品の一つであると思う。

 きっと誰でも共感することが数多くある。
 だから多くの人に読んで欲しい、そんな作品だ。
ラストは出来すぎている ★★★☆☆
 職種は違っても誰もが新人時代は、今から思えば些細なことで「向いていないのではないか」とか「不満」とかそいういうものはあったと想う。それをストレートに表現している。
 けれど、ラストの方のストーリーは何か「予測できる」というか「出来すぎた感じ」というか、安っぽいドラマにありがちな「ハッピーエンド」で終わるというのは、捻りが無いように想う。
 現実はそう都合よくは行かない。
魅力のない主人公 ★★☆☆☆
警察官になろうと思った動機が不純。しかも、どこからどこまで型破り。
先輩にも平気でため口をきく。そんな高木聖大だったが、いろいろな
できごとや人との関わりを経験し、少しずつ成長していく。そして、
警察官という職業に対してもやりがいを見出していく。
こう書くと、一人の人間のさわやかな成長物語だと思うかもしれないが、
読んでいてあまりそういう感じは受けなかった。聖大には、人間としての
魅力がない。礼儀知らずで、面白くないことがあれば返事もせずにふくれて
いる。いやな仕事のときは、さんざん口をこぼす。今どきの若者の姿を描いて
いるのかもしれないが、読んでいて共感できないような極端すぎる人物像は
どうかと思う。言葉遣いも、とても気になった。面白さをあまり感じず、
最後まで読み通すのがしんどかった。
警察官が少し身近になった ★★★★☆
面白かった。
たしかに警察官ってみんな警察官
顔なんかもろくに見ない気がする。
でもあたりまえにみんなそれぞれいろいろに考えているんだよなあって感じた。

この主人公はどんどん成長して、いい男になっていくんだろうなあ…

うらやましいです。