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戦略不全の論理―慢性的な低収益の病からどう抜け出すか

価格: ¥2,730
カテゴリ: 単行本
ブランド: 東洋経済新報社
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アメリカ企業同様に利益を稼ぐために戦略が必要? ★☆☆☆☆
本書の主張は明快です。

*アメリカ企業同様に高い利益を稼いでいない日本企業は戦略不全である
*戦略不全な日本企業には、大局観を身に付けた経営者を育てるべきである
*MBA的な教育を日本企業に導入しよう

M.E.ポーターらが主張し、
本書の著者が前提とする
「高い収益を生むのが良い企業」
というアメリカ競争戦略論的な価値観は、単純明快ではあります。

一方で、
収益の高さの適正値とは主観的なものでしょう。
(著者の主張によれば、営業利益率が低下し4%そこそこの日本企業は戦略不全!)

スマートに利益を稼ぐことを至上とするアメリカの経営戦略に関する考え方の一端を
本書からうかがい知ることができるように思います。

アメリカの研究を翻訳して自分流に唱えたり、
あたかも評論家のようなアカデミシャンが多い昨今ですが、
企業組織の人間が納得できる研究や、実践できる提言が待ち遠しいものです。
社長・事業部長(経営者)は10年以上務めるべきという主張 ★★★★★
 表紙の絵は、1970年代からの日本の製造業の売上と利益率を示したグラフである。売上は徐々に飽和している。一方、利益はずっと右肩下がりなのである。経営戦略とは30年以上を見据えるべきであり、戦略が機能不全になっていると著者は表現する。米国とは対照的な現象である。

 その現象や原因を膨大なデータや聞き取り調査により推定し、経済学の理論と組み合わせて、経営戦略のあるべき姿と戦略不全への処方箋を明らかにしている。内容には少々学術的な記述も多い。有意係数とかは多少読み飛ばしても構わないだろう。

 日本企業では、経営と管理の分離ができていないので、社長や事業部長の任期が短い。創業者社長は20〜30年かけて戦略を描いて定着させられるが、その後の経営者はそれができない。経営戦略とは、非合理性・非可分性・非可逆性を持ち、試行錯誤で進化していく。戦術レベルの管理をこなして50代後半で社長になるのでは、経営能力が身につくはずもない。

 米国式にMBA取得者を経営幹部に迎えるのは日本に合わないのであれば、経営に向く人材を30代で選抜して経営能力を鍛えるコースに乗せるのが良いのではないかと提案している。
損なし ★★★★☆
戦術ではなく、戦略として、一見同じような事業をしている企業が
なぜもここまで成功と失敗の明暗がわかれるのか?
多角的な視点から数値化⇒グラフ化して分析し、
分析を行う際は、世の中の理論家のフレームを評価/分析した後、
綿密なレポーティングを行うことで、「戦略不全の論理」を語っている。

日本の戦略についてここまで突っ込んだ本に出会ったのは初めてで、
かなりの良書であるが故、初心者にはお勧めできないが、
読み返すのには使えそうな本である。

戦略が不全になっている時、再度読み返したい本である。
■経営戦略の最高傑作。許されるなら”★×10”くらい付けたい!!! ★★★★★
・仕事柄、経営戦略の本は色々多数読破しました。
 しかし、この本でまさに開眼した感じです。
 「そうか、だから駄目なのか」と何度も深くうなずけた、というか
 「なるほどー」とうなってしまった と言う方が正しいかもしれません。
 許されるならこれまでの基準で付けていた★でいえば10個くらいは
 付けたい感じです。
・特に印象深いのは
 −戦略とは経営者のもつ事業観またはそこから生まれる大局的判断だ
  (混沌とした日常の小さな判断の積み重ねに一貫性が浮かぶとすれば
   それは経営者の事業観が背後に控えるからだ)
 −理外の理
  常識に潜む嘘の虚をつく妙理。「ばかな」と「なるほど」
 −プロフェッショナルな管理者≠経営者
 などあげたらキリがありませんが。
・今後は、三品先生の本は出版されたら
 オートマチックに購入することになるでしょう。
多くの示唆とデーターに富む良書だが・・・ ★★★★☆
本書はいくつかの論点を挙げて、停滞している日本企業の戦略不全を分析し、今後の方向を示そうとしている。しかし、本書であげているように、解決策は戦略を立てる経営者を育てることなのか?
特に分析の多くの部分を費やしている、電機、精密業界は今やさまざまな分野の統合体となっている。その方向を示すビジョンを作る経営者を育てることが出来るのか? 一例としてあげるアメリカのMBAは上手く働いているのか? 疑問点はいくつもあり、矛盾もあるが、「これですべて解決」式の処方が無いのが現実であろう。今後の要望として、優等生しか昇進できない体質も取り上げていただきたい。社内外と衝突しながらも会社業績を伸ばした功労者は経営者に残らない例が多い。旧日本軍と重なるのではないか。