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特別職用車―占領の落とし子 薄命の歴史 (RM LIBRARY 95)

価格: ¥1,050
カテゴリ: 単行本
ブランド: ネコパブリッシング
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トワイライトエクスプレスのご先祖様? ★★★★★
 戦後昭和20年代前半、GHQの外局とも言えるCTS(民間運輸局)が当時の国鉄に要請(半ば強制?)して用意させたのが「特別職用車(オフィスカー)」。名目上は国鉄総裁や管理局長等の幹部の現場視察用ということで職用車と称しているが、実際はGHQやCTSの幹部、彼等が招待した外国の賓客の日本国内視察旅行に用いるのが主用途であったため、いずれも当時の一等車を上回る特等級の豪華さで、「特別」職用車を名乗る。各地の10鉄道管理局に各1両ずつ、本庁用に6両の計16両がいずれも改造により用意されたが、大半の車両に個室寝台、キッチン、会議室兼用の密閉式展望室を備えていた。その種車も様々で興味深いが、その外観的改造ポイントはその妻部にあると言い切れる。そこにしつらえられた密閉式展望車というデザインは、アメリカ至上主義の世相の反映か、はたまた要請元の意向なのか、アメリカンスピリットにあふれる風格を備えていた。そのデザインテイストは現代のトワイライトエクスプレスの個室展望車にも通ずるものがある。(全14両の中には本当にそっくりな物があるので、ぜひ本書で確認して欲しい。)
 GHQやCTS無きあと、当時としては異例に豪華、しかもなまじ日本人である国鉄幹部が利用する視察車ということで世間の批判にもさらされた彼等は、元の車両に復元改造されるもの、宿泊機能を生かして試験車に改造されるなど、各車様々な波乱の運命をたどった。その中には改造や改番により生涯10回も名前を変えた車両もあり、本書の内容は、よこぞここまで調べたと本当に感心するばかりである。収められた図面集も含め、資料性の高さだけで星5つとしたい。
 なお、この特別職用車に興味を持った方には、JTBパブリッシングの『いのうえ・こーいち鉄道ノスタルジー02「稀車珍車好き」趣味的に見た車輌』もそれなりのページをさいて取り上げているのでこちらも参照していただきたい。