秀作です
★★★★☆
『Purple Rain』以来のファンだった私は、発売当日に予約購入して入手した本作を
期待半分不安半分でプレイヤーにのせました。
80年代からのファンはみんな似たような感じだったのではないでしょうか。
前作『Diamonds and Pearls』は正直プリンスの作品としては期待外れだったのです。
「プリンスももう終わったのか・・・」
本作はその不安を(完全にではないが)多少はらしてくれました。
サウンドは前作から顕著になった、後期プリンスともいえるものです。
輪郭のはっきりした、とっつきやすい音だと思います。
80年代のややスカスカで密室感漂う感触はありません。
しかし、曲の完成度や彼独特の過剰なノリが前作より格段に感じられます。
1曲目の自意識過剰っぷりがいきなりファンキー。
ダメな人には開始30秒でCDを投げ捨てるかもしれませんw
しかし、この臆面のなさこそJB直系のファンカティアの伝統です。
当時はやっぱり『Sign o' the Times』あたりの音がなつかしく、本作も手放しで
受け入れられなかったのですが、今聴くとなかなか捨てがたい魅力のある作品だと思います。
サウンド・プロダクションは未だ斬新。
★★★★☆
プリンスのディスコグラフィーやキャリアにおけるこのCDの意義はよく分からないが、2007年現在の耳で聞くと、なかなか興味深い音を鳴らしているということは、はっきり言える。
非常に先駆的なことをやっていて、すでに発表から十年以上過ぎているのに、何曲かのサウンドプロダクションは未だに斬新さを持っているところがすばらしい。
才能持てる者は何をレプゼンすべきか
★★★★☆
冒頭から攻撃的な自己紹介で幕を開けます。それまでの彼の作品では見られなかった何とも直接的な表現で当て擦ります。完全無欠のメガスターが「オレはプリンスだ!ワンandオンリーだ!」
と絶叫するさまに「知ってますよ当然でしょ。」と少し困ってしまいます。スクラッチの増大・トニーのラップ・強烈リズム隊によるトラックなど完全にHIPHOPを見据えて物申したいのがよく
伝わってきます。しかしゴージャス極まりない演奏による[2]を聴いて感じるのは「ダーティーワーズを並べても優雅だよな王子は・・」という事です。ストリート臭は殆ど皆無な上に素晴らしい
生演奏のオケによるHIPHOPは私に色々考えさせるきっかけを与えます。美しい[3]にさえブリッジを与えラップが披露されます。[16]などは重厚なグルーブに興奮しますがその内容といえば
当事者以外の私が簡単に共有できぬ内容を含んでいます。ハーフだろうがクォーターだろうがその血が流れる以上の区分になる国で勝利した男のシャウトに胸が熱くなります。
しかしプリンスというアーティストは自分に課せられた制限を全て紡ぎ出す音楽で突破してきた人です。潜在的敵意を持つ層にも支持を広げ自身が提唱したは彼の音楽によって地上
に現実化したといえるでしょう。己の封印を解いたのかもしれませんがもっと辛辣なメッセージを吐き出す兄弟がストリートに多数存在(楽器を学ぶ機会も金銭もない層)し、その者たちの手段
がラップでありターンテーブルである事実を考えれば、彼がやるべき事はもっと高いレベルにあって欲しいと思うし、それを可能にする力を持っているのがプリンスという音楽家なのです。
好意を寄せている女性の影響かそこはかとなく香る中近東テイストが彼のキュートな所です。
もっさり
★★★☆☆
1992年作。80年代のプリンスは1作ごとに作風を変化させてきましたが、本作は前作のフォーマットをまんま使用した延長線上的(悪く言うと2番煎じ)な作品となりました。
バンドはロージー・ゲインズが抜けてマイテが加入。ロージーの脱退はバンドに大きな損失になるかと思いきや、それほどでもなく、前作「D&P」と余り変らない感じです。
サウンドは、前作が60年代だとしたら本作は70年代リバイバル。ジャケットはEW&Fちっくで、モロJB、モロP-Funk、モロQueen、レゲエ風、ボサノバ風といった多様なスタイル、そしてホーン隊の大活躍がポイント。UKテクノにも果敢に挑戦していますがこれは失敗。そもそも80年代のプリンスサウンド自体がテクノの一角を担っていたはずですが、90年代は無理にジュリアナ的なテクノを狙い「流行についていこうとしているオジサン」的な哀しさが漂っています。orz
1曲の中でアレンジがコロコロ変化する曲が多いのですが、大げさな展開をする割には肩透かしで、いろんな要素がうまく溶けずにセパレートされている感じがします。そんな中でも「Love 2 The 9's」は個人的に本作のベストトラックです。
前作から引き続きミキシングを100%外注しており、スタジアム的大味な音になっています。これが並のミュージシャンならば問題ないのですが、プリンスの場合、つい過去の作品のシャープなミキシングと比べてしまい、「もっさり」と感じてしまいます。プリンスであるが故の不幸であります(涙)。
本作リリース当時「殿下 契約金1億ドル、ワーナーの副社長就任」との仰天ニュースが流れ、その数ヵ月後には「副社長辞退、改名、引退」とさらに仰天させられましたが、そんな混乱が複雑なアレンジに表れている素直さが微笑ましかったりします。(^-^)
一曲目
★★★★☆
憤りだとか劣等感を抱いていているとき、ヘッドホン装着の上、ボリューム全開にして踊り狂います。攻撃的な音楽だと思う。分厚いドラム音と「アーアー」唄うコーラスで、バラバラのマイ自尊心がダイアモンドのように硬く結束して、熱を帯び、光を放つ。聴いてるとそんな気持ちになります。この時期はこの時期で新たな意気込みが感じられて、大好きだ!ただ、食いきれないくらいボリューミーなのがトータルとしては残念だ!