絵入りでわかりやすくニーチェの思想を知ることができる本
★★★★☆
この本を読んで自分なりに理解できたことは下記の通り。
<民主主義政治がうまくいかない理由>
民主主義政治はルサンチマン(恨み、妬み)に支配されている民衆が選挙権を持つため、
結局民衆のルサンチマン操作がうまくできる政治家が支持される。
しかし、ルサンチマン操作がうまい政治家が優秀な政治家とは限らない。
だから、民主主義は危うい。
では、どういう人が政治家になるべきか。
超人である。
超人とはルサンチマンに支配されない人間である。
民主主義の考えは人類平等である。
でも、人間には生まれながらに能力に差がある。
それを認めずに平等平等と騒ぎ、能力がある人をうらやましく思うからルサンチマンが生じる。
よって、能力がない人はルサンチマンでいっぱいになり、能力がある人は平等思想により十分に力を発揮できない環境に置かれる。
ただ、この考え方は誤解すると大変なことになる。
あのナチスがこのニーチェの思想を利用したとのことだからだ。
<超人による政治はどうやったら実現できるか>
まずは、私をはじめ能力のない人が、自分に能力がないことを認め、
ルサンチマンを抱かない自己を確立することだ。
そうして、能力のある人を心から認めてその人に国を任せることだ。
もっとも、真に能力のある人を能力のない人がどうやって見分けるのかというところが難しいのだが。
ちょっと間違うとナチス独裁政治の二の舞になる危険性を孕んでいる。
ルサンチマンを抱かない自己を確立するには、
非常に厳しい修行が必要だけれども、
個人で努力できる部分なのでそれを実践する価値はある。
でも私をはじめ、ほとんどの人は日々ルサンチマンに侵されているわけだから、なかなか難しい問題だ。
でも、まずは人間ほっとくとルサンチマンに侵されていることを認識することが第一歩だ。
ちなみにルサンチマンを抱いて他人に復讐したとしても
永遠回帰でまた復讐以前の状態に戻り同じことを繰り返すだけだから、
ルサンチマンによる復讐は何も解決しないことから、
そんな仕打ちは無意味ということらしい。
理解不足で何で永遠回帰が起こるのかはよくわからないのだが。
また、論理を絶対視して追及することはニヒリズムの発生を必然的なものにすると考えたニーチェは
因果も意識も否定するところから体系を作り出したっていうのがすごいと思った。