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黒い花びら (河出文庫)

価格: ¥735
カテゴリ: 文庫
ブランド: 河出書房新社
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ハイアースの看板の人ではなかった。 ★★★★★
この本を読むきっかけは「おふくろさん」騒動のときにワイドショーで水原弘の話を取り上げたのがきっかけです。

最初は図書館で借りましたが、借りるだけでは物足りず、とうとう購入してしまいました(それも桑田さんのライブの日に)

水原弘と言えば子供の頃に見たハイアースの看板のイメージが強い。しかし、彼の人生は新人ながらレコード大賞を獲得してしまったことから狂い始めてしまった。

特にお金を湯水のように使い、レミーマルタンを清涼飲料水のようにがばがば飲んでいたと言うのが考えられないことだ。

今のアーティストは体に気を使う人が多いですが、昔のスターはそんな常識が通用しなかった。

余談ですが、彼が入院していた朝日生命成人病病院と言うところは管理の厳しいところだと言います。(わざわざ調べました)

親から水原弘は便器につかまって倒れていたと言うのですごい死に方だなあと思ったら、その彼を介抱し、救急車の手配をしたのがマネージャーだと言うのも強烈だ。

来年で彼が亡くなってまる30年ですが、当時子供だった私にとって水原弘は「黒い花びら」ではなく、「ハイアースの看板」の人だ。
"無頼"の凄味 ★★★★★
 本書は、水原弘が駆け抜けた時代に掲載された週刊誌の記事や関係者の声を拾い、丹念にこの"酔いどれ歌手"の人生を追っている。ページをめくりながら読者の頭によぎるのは、「お酒を少し控えたらこんなみじめな死に方しなくてよかったのに」、「見栄張りすぎて金を浪費して」といった、呆れにも近い思いだろう。だが著者は、水原が周辺の人々から拍手を送られながら道徳的に生きるような「昼の論理」ではなく、「歌うこと」と「破滅へ向けての生活無頼」に生涯のほとんどを費やす「夜の論理」を生き抜いたのだと説明し、「昼の論理」の側から何を言っても「夜の論理を生きた水原弘には通用しない」という。

 「水原弘は、自分のステージの上における"無頼"のイメージに、ステージを降りた後も責任をとった芸人だった……(中略)さまざまな歌手や役者がいるが、ステージやスクリーンでは恰好よく"無頼"のイメージをただよわせながら、そのフィクションの衣を脱げばほとんどサラリーマン感覚、世間的な気遣いをめぐらして蓄財に励んでいるタイプがほとんどだろう。水原弘は、それに反発して、ステージ上での気取った"無頼"を、日常の中でも演じて見せつづけた。」

 関係者は言う。「水原弘の時代にも、そんなタイプは数えるほどしかいなかったけど、今はもう絶滅しましたね……」と。
 著者は水原弘の軌跡を辿りながら、"無頼"の凄味を実感できたのがうれしかったと「あとがき」で書いている。

名曲の背景・昭和30~40年代の歌謡曲の世界を知る一冊 ★★★★★
私は「黒い花びら」も「君こそわが命」も知ってはいるし
水原弘が歌う姿をテレビでも見てはいるけれど
いかんせん幼すぎて、ただ「目つきの怖いお兄さん」
という印象しかなかった。
その水原弘の本を何故読みたいと思ったかというと
氷川きよしくんが「黒い花びら」をアルバムに収録し
毎日のように聞いているうちに、こんなすごい歌だったの?
と感じ始めていたから。そして不遇の時代から
「君こそわがいのち」への奇跡の復活の仕掛け人が
きよしくんの所属事務所の長良じゅんさんと聞いていて
どんなドラマがあったのか知りたかったからだ。

作者は水原弘と同じ時代を生きているので、とても熱い思いがあり
物見遊山で手に取った私のような読者でもぐいぐいと
ひきこまれ一気に読破してしまった。
日本人が活き活きとし、侠気、人情がまだ元気な時代
だったからこそ誕生した歌手という印象をもった。
あのテレビ画面を通してみた凄みのような意味も理解した。
名曲といわれる曲には様々なドラマがあるだろうが
歌以上にドラマティックな人生を生きた水原弘を思うと
なんとも切ない気持ちになる。歌い継がれる名曲を
持つことができたことは歌手としては幸せなことだろう
ただ歌い継ぐ歌手は曲の背景まで踏み込まなければ
説得力のある歌唱はできまい。

きよしくんの歌声で蘇った「黒い花びら」彼なりに
「水原弘像」を学んだ上での収録だったのだろう。
でもきよしくんへ水原弘の生きた時代の蔭りは感じない。
彼なりに昇華し、新しい命をあの曲に吹き込んだからこそ
平成の「黒い花びら」が耳について離れなかったのだと納得できた。
また長良じゅんさんがよくインタビューでお話されている
「同じ匂い」「匂いで動く」の意味も少し分かった気がした。
ネット全盛の現代で人と人との関係が希薄になっている今こそ
読むべき本かもしれない。