13年前に現在の社会テーマの核心へ、禁飲酒運転。
★★★★★
内田康夫センセは未来を見通せるタイムトラベラーかと思わせる推理力です。
この小説の書かれたのは平成6年今から13年前ですが、まさに現在の社会問題のテーマそのものです。
飲酒運転で人を跳ね殺した為に全ての人生を狂わせ殺人から自殺へ走ってしまった若いカップルの悲劇を描いたものでまさしく今、飲酒運転の怖さが関わった全ての人の人生を狂わせている社会問題のまっただ中のテーマです。
中村典子の元へ、不幸の手紙が届く。忙しさにかまけて、期限とされていた十日が過ぎてしまった頃、以前典子を口説いた暴露雑誌記者長谷が殺害される。
更に不幸の手紙の発信元の末次真也子も殺害された。
それを知り、ショックで寝込んだ典子の代わりに取材を頼まれた浅見は、長谷の事件を調べ始め、殺害前長谷の「半分の馬」のメッセージから事件を追う。
長谷が追っていたのは新人画家天野ケイナで師匠とのスキャンダル目当ての張り込みだったのが、天野が飲酒運転で殺害した男を恋人の法医学者、深川尚司の手でバラバラにして遺棄した事件を追っていると勘違いし殺害。
さらに天野が末次に出した不幸の手紙を末次が脅したことで殺人の脅しと勘違いして殺害と不幸な事故と被害妄想からの殺人事件を浅見ちゃんが推理し犯人たちを説得・・・・自殺させてしまった、という結果で収束しました。
警察は迷宮入り事件で捜査終結です。
浅見チャンが長谷と天野の足取りを追って舞台を北海道日高の農民画家・神田日勝の「半分の馬」にたどり着くのは中々面白い展開でした。
結論「乗るなら飲むな。飲むなら乗るな!!!!」に尽きます。
いきなりネタばれ・・・
★★★☆☆
本作では”半分の馬”という被害者の残した言葉がキーワードになっているのだが、文庫本ではいきなり1ページ目にそのネタばれがあるのには興ざめしてしまった。まぁある意味親切ではあるのだが。
本作は未解決の実在の事件(井の頭公園のバラバラ遺体遺棄事件)がモチーフになっており、それに対し浅見が独自の勘というか感性から犯人のプロファイリングをしており、それがなかなか説得力があって興味深い。
旅情的な話では北海道の十勝地方が舞台になるのだが、執筆時には営業していたカナディアンワールドやグリュック王国などが登場しているのが面白かった。というか本作読むまでそんなテーマパーク知らなかったんだけど。
それにしても毎回毎回犯人に対する処遇はどうかと思う。今回もこんな終わり方でいいのかよ、とつい思ってしまう終わり方だった。
ほんとおもしろかった!
★★★★★
ミステリーとして、旅行記として、そして人間ドラマとしても
楽しめる作品です。
犯人を当てた浅見光彦の悲しそうな表情にも注目です。
「半分の馬」と聞いてあなたはどんな情景を想像する?
★★★☆☆
一見無関係な人間たちが次々と殺されていく。そんな中、「不幸の手紙」で繋がる関係が!
北海道の「幸福の駅」との対比の中、「半分の馬」の存在からだんだんあきらかになる連続殺人のパズル。著者が実際に予期せずに訪れた「半分の馬」がストーリーに大きなエッセンスとして効いていて、いつもとは少し違ったアプローチにしあがっています。