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日本建築の空間 (SD選書 37)

価格: ¥2,310
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ブランド: 鹿島出版会
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量も質も、すごい建築論 ★★★★☆
この本の大きなテーマは、日本人の建築に対する関心が、実体的なものから空間的なものへ変遷していく、ということである。概して、空間や間隙への関心というものは、古代の日本人には希薄なものであった。関心は実体にあった。それは、「柱」への関心に現れている。そこには生身の人間がつけこむ隙はない。ただ崇めるだけである。
このような精神性は、いくらか時代の下った白鳳期の法隆寺においても見られる。井上氏は、法隆寺のプランを詳細に観察した上で、その厳しい四方対称性を、彫塑的性格と名づける。それは寺院でありながら、人が礼拝するための「空間」を持たない、外部とは断絶した「実体」なのである。

このような性質は、今日一般に「日本的」「和風」と言われている建築とは大いに違っている。しかし、日本の建築もその出発点から徐々に姿を変えてきたのだと思うと、とても新鮮に思える。

このレビューで全部を紹介することはしないが、このように、各時代における建築の性格を、「実体から空間へ」という一つの統一されたコンテクストの中で徹底的に語る労作である。

この本は、いわゆる日本美を語るものではない。美という、ある意味で魔術的な概念とは切り離し、とても冷静な視点から、日本建築及び日本人の思想を、私たちに示してくれる。

また、建築のみではなく、各時代の造形の精神的背景となった思想や、世界観についても明快な解説を加えてくれる。そのような意味で、建築に興味がなくても、日本や日本人に興味がある人に、一読をおすすめしたい。
日本建築空間論における名著中の名著 ★★★★★
この名著に若造が口出すことがおこがましい とものすごく感じるくらいに素晴らしい一冊である。直球なタイトルが付く、その意味を読めば、すぐに理解出来るだろう
日本人で建築を考える人間だったら一度は読むべき本だと思う
2200円はこの本の薄さで考えれば高いように思えるが、書いてある内容を考えれば安い買い物である。

日本建築史を学ぶという観点からだけでも、非常に優れた書物であり、変に半年間授業を受けなくてもそれ以上の智識を与えてくれるだろう。空間論、構造論的な日本建築に対しての捉え方を促進させてくれるおかげで、より抽象的に捉えた日本建築像を手の上に転がしながら新たなる建築のパラダイムシフトに夢想してみるのも楽しい、同時に図面などを通して理解することによって具象性を持って日本建築を考える基礎を与えてくれることは間違い、細かい用語や寺院についてわからなくても読み通す事は容易いように出来ている。出来れば世に溢れている日本建築の大型を横に置くか、実際に見に行ければ心強い。
さらに、タウトが桂離宮を見つけたように近代建築と日本建築との相性の良さは、そのまま村野藤吾に代表されるような商業建築における表面の問題や複合建築と時間変化の問題を考える上で、日本人としてなにを考えるべきなのか?ということを問い直させてくれるのではないだろうか。 行動的空間において位相幾何学に対して言及が少々ある点には驚かされる。行動的空間が持つ洞窟性とはまさに現代日本における都市空間に転写される空間像だろう。

合わせて、鈴木大拙の日本的霊性を読むと、文庫で安いし宗教的な背景とかが理解しやすくて楽しいと思った。特に浄土宗に関しての背景を知った上で読んだ方が平安と鎌倉の違いが明確になると思われる。